第15回 言語聴覚士国家試験 第200問
小児聴覚障害第15回
高齢期に失聴し、さらに失明した難聴症例への有効な会話支援法はどれか。
a.空 書
b.指点字
c.触手話
d.補聴器
e.人工内耳
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:5番
解説
解答:5.d, e
解説
設問の症例は、**「高齢期に失聴」し、さらに「失明」**した状態(中途盲ろう)です。この背景を踏まえて、各選択肢の適応を検討します。
選択肢の検討
a. 空書(くうしょ)
手のひらや空中に文字を書いて伝える方法です。失明しているため空中での文字認識は困難であり、手のひらに書く(手書き文字)としても、高齢になってから失明・失聴した方が複雑な漢字などを触覚のみで瞬時に理解するには、習熟に時間がかかります。
b. 指点字(ゆびてんじ)
盲ろう者の指を点字のタイプライターに見立てて打鍵する方法です。非常に効率的な伝達手段ですが、点字の知識が必要です。高齢期に盲ろうとなった方が、ゼロから点字の体系を習得するのはハードルが非常に高いとされています。
c. 触手話(しょくしゅわ)
相手の手話に触れて読み取る方法です。これも手話の習得が前提となります。高齢期に失聴した方は通常、音声言語(日本語)で生活してきたため、手話を一から覚える必要があるこの方法は、第一選択にはなりにくいです。
d. 補聴器
「失聴」とあっても、まずは残存聴力を最大限に活用することが検討されます。高齢者の場合、使い慣れた「音」によるコミュニケーションが最も負担が少なく、有効な支援法となります。
e. 人工内耳
補聴器で十分な効果が得られない高度難聴(失聴状態)に対して検討されます。特に中途失聴者の場合、既に獲得している言語概念があるため、人工内耳による装用効果が高く、盲ろう者にとって貴重な情報源(音)を取り戻すための極めて有効な手段です。
結論
高齢になってから視覚と聴覚の両方を失った場合、新しいコミュニケーション体系(点字や手話)を習得するよりも、**「今持っている言語能力(日本語)」を活かせる聴覚的アプローチ(補聴器や人工内耳)**が優先されます。
したがって、正解は 5(d, e) となります。