第28回 言語聴覚士国家試験 第89問
小児聴覚障害第28回
先天性サイトメガロウイルス感染症について正しいのはどれか。
- 1.中耳奇形を合併する。
- 2.知的能力障害を伴う。 ✓
- 3.網膜色素変性症を発症する。
- 4.ワクチンで予防が可能である。
- 5.先天性難聴の約2%を占める。
正答:2番
解説
# 第28回 第89問 解説
■ 正答:**2番** — 知的能力障害を伴う。
先天性サイトメガロウイルス(CMV)感染症は、妊娠中のウイルス感染が胎児に垂直感染し、出生時および出生後に神経発達障害をもたらす先天性感染症です。**知的能力障害(知的発達障害)は本症の代表的な神経学的後遺症**であり、感染時期(妊娠第1三半期)と感染の重症度によって程度が決定されます。
---
【各選択肢の解説】
1. **中耳奇形を合併する。**
❌ 誤り。先天性CMV感染症の合併症は**神経発達障害が中心**です。中耳奇形の合併は報告されていません。一方、CHARGE症候群(CHD7遺伝子変異)は中耳奇形(耳小骨の異常など)を特徴としますが、別疾患です。
2. **知的能力障害を伴う。**
✅ 正しい。先天性CMV感染症の神経学的後遺症として**知的能力障害・聴覚障害・視覚障害・脳性麻痺**が代表的です。特に妊娠初期の感染は重篤な神経発達障害をもたらします。
3. **網膜色素変性症を発症する。**
❌ 誤り。網膜色素変性症を特徴とする先天性感染症は**Usher症候群**(遺伝性視覚聴覚二重障害)です。ただしUsher症候群は遺伝性疾患であり感染症ではありません。先天性CMVの眼病変は視神経萎縮・大脳皮質視覚障害などであり、網膜色素変性症ではありません。
4. **ワクチンで予防が可能である。**
❌ 誤り。先天性CMV感染症の予防に**有効で臨床利用されているワクチンは存在しません**。妊娠中の一次感染予防(衛生管理)や母体血清抗体検査による周産期管理が現在の対策の中心です。
5. **先天性難聴の約2%を占める。**
❌ 誤り。先天性CMVは**新生児難聴の最大の獲得原因**であり、先天性難聴全体の**約3~5%を占める**とされています。遺伝性難聴(GJB2遺伝子変異)の次に多い原因です。
---
【試験対策ポイント】
**先天性感染症の代表的な原因と臨床特徴(TORCH感染症)**:
| 感染原 | 難聴 | 視覚障害 | 知的・神経障害 | その他の特徴 |
|---|---|---|---|---|
| **サイトメガロウイルス(CMV)** | ◎最多(周波数障害多い) | ◎(視神経萎縮など) | ◎(最頻度) | 先天性難聴の獲得原因№1 |
| **風疹ウイルス(RV)** | ◎(高音障害) | ◎(白内障・網膜症・緑内障) | ◎ | 3主徴(難聴・心疾患・白内障) |
| **トキソプラズマ(T)** | △稀 | ◎(脈絡網膜炎) | ◎ | 脳石灰化・水頭症 |
| **単純ヘルペス(HSV)** | △稀 | ◎ | ◎ | 皮膚病変・肝炎 |
**重要な鑑別ポイント**:
- **Usher症候群**(遺伝性)=視覚聴覚二重障害。最初は難聴→思春期以降の進行性網膜色素変性症。先天性感染症ではない
-