第15回 言語聴覚士国家試験 第199問
補聴器・人工内耳第15回
人工内耳について正しいのはどれか。
a.電極の先端で高周波数情報を伝える。
b.定期的な電池入れ替え手術が必要である。
c.FM補聴システムを併用することができる。
d.コード化法の進歩で聞き取りの成績が向上してきた。
e.体外器の種類は箱形と耳かけ型、挿耳型の3つである。
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — c,d
人工内耳の臨床応用において、FM補聴システムとの併用が可能であること、およびコード化法(音声符号化戦略)の改善が聴取成績の向上に直結していることが正しい知識です。特にコード化法の進歩(CIS戦略からACE戦略への移行など)は、人工内耳利用者の言語理解度を大きく改善させた重要な進歩です。
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【各選択肢の解説】
a. 電極の先端で高周波数情報を伝える。
❌ 誤り。人工内耳の電極配置は逆で、蝸牛基部(入口付近)で高周波数、蝸牛頂部で低周波数を刺激します。周波数配置は蝸牛の周波数配列に従います。
b. 定期的な電池入れ替え手術が必要である。
❌ 誤り。現在の人工内耳体内器(インプラント本体)は充電式または定期的な電池交換は設計段階で検討されていません。体外器の電池交換は定期的に行われますが、体内器は交換不要です。ただし長期の耐久性上、将来的な交換が必要になる可能性はあります。
c. FM補聴システムを併用することができる。
✅ 正しい。人工内耳利用者は、FM補聴システム(無線補聴器システム)を併用することで、学校やホール等の遠距離から送信された音声を直接受信できます。特に教育場面で有効です。
d. コード化法の進歩で聞き取りの成績が向上してきた。
✅ 正しい。CIS(Continuous Interleaved Sampling)から始まった音声符号化戦略は、ACE(Advanced Combination Encoders)や最新のストリームなどへと進化しており、周波数分解能や時間分解能の向上により、特に雑音下での言語理解と音楽認識が飛躍的に改善しました。
e. 体外器の種類は箱形と耳かけ型、挿耳型の3つである。
❌ 誤り。現在の人工内耳体外器は主に耳かけ型(body-worn型はほぼ廃止)とボディ・ウェアラブル型に分類されます。「挿耳型」という分類は一般的ではなく、また現在は箱形体外器の使用は極めて稀です。
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【試験対策ポイント】
人工内耳の基本構成と機能
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| **体内器** | マイク・受信コイル・信号処理装置・電極配列など。交換不要・充電式または磁力で給電 |
| **体外器** | 耳かけ型が主流。定期的な電池交換が必要 |
| **蝸牛内電極配置** | 基部→高周波、頂部→低周波(蝸牛マップに基づく) |
| **主要コード化法** | CIS(初期)→ACE(現在の主流)。時間分解能と周波数分解能が改善 |
コード化法の進歩による効果
- 雑音下での言語理解向上
- 音楽認識精度の改善
- 複数話者環境での聴取成績改善
人工内耳と補聴器の併用システム
- FM補聴システム:対応可能(学校など遠距離通信が有効)
- Bluetooth:新型体外器で対応開始
- ハイブリッド人工内耳:低周波は補聴器、高周波は人工内耳で処理
頻出の誤り知識
- 「電池交換手術」:体内器は交換不要(× よくある誤認知)
- 「蝸牛基部は低周波」:逆(× 基部は高周波)
- 「挿耳型体外器」: