第28回 言語聴覚士国家試験 第91問
小児聴覚障害第28回
難聴児の言語・コミュニケーション指導で誤っているのはどれか。
- 1.皮肉文の理解は語用指導に含める。
- 2.幼児期から書記言語を併用し音韻意識を形成する。
- 3.言語モダリティーの選択はライフステージで変わる。
- 4.乳児期は要素的な聴覚弁別課題を中心に行う。 ✓
- 5.構文構造の定着には幼児期からの助詞指導が必要である。
正答:4番
解説
# 第28回 第91問 解説
■ 正答:**4番** — 乳児期は要素的な聴覚弁別課題を中心に行う。
乳児期の聴覚ハビリテーションは、単純な音の弁別に限定すべきではなく、**意味のある環境音や音声言語を通じた自然なコミュニケーション環境**を優先することが現代の聴覚言語療法の標準です。乳児は感覚経験と意味づけを同時に行うため、生活に関連した聞き分けが発達を促進します。
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## 【各選択肢の解説】
1. **皮肉文の理解は語用指導に含める。**
✅ **正しい。** 皮肉文(「このテストは得意だね」と失敗時に言うなど、字義的意味と実際の意図が異なる表現)の理解は、言語の字義的側面だけでなく話者の意図・社会的文脈を理解する必要があり、典型的な**語用論的能力**です。難聴児は聴覚情報の制限から文脈理解が遅れやすく、専門的な語用指導が重要です。
2. **幼児期から書記言語を併用し音韻意識を形成する。**
✅ **正しい。** 聾教育・聴覚障害児教育の重要な知見として、乳幼児期から手話と読み書きを多感覚的に併用することで、音韻体系(たとえ聞こえなくても文字・手指で)の内的構造を形成し、後の学習を支える基盤となります。補聴器装用児も含め、複数のモダリティからの入力が音韻意識を促進します。
3. **言語モダリティーの選択はライフステージで変わる。**
✅ **正しい。** 乳幼児期は口話・手話・筆記などの複合的アプローチから始まり、就学期には学習環境の要求に応じて手話から日本語(読み書き)への比重が高まる場合や、あるいは補聴器・人工内耳の装用で聴覚的入力の重要性が変わるなど、**ライフステージと教育環境に応じた柔軟な選択が必要**です。
4. **乳児期は要素的な聴覚弁別課題を中心に行う。**
❌ **誤り。これが正答です。** 従来の「聴力の査定→要素的音刺激の弁別訓練」という段階的アプローチ(下向的)から、現在の聴覚言語療法では**「自然な音環境での意味のある聞き分け→段階的な精密化」(上向的・言語中心的アプローチ)**へシフトしています。特に乳児期(0〜3歳)は、親子のやり取り(ターンテーキング)や生活場面での環境音・親の声への自然な傾聴が、後の言語発達の基盤となります。「色と大きさの異なるボタンを聞き分ける」といった意味と無関係な訓練課題は、動機づけが低く、一般化・転移が困難です。
5. **構文構造の定着には幼児期からの助詞指導が必要である。**
✅ **正しい。** 健聴児でも助詞の習得は2〜4歳で段階的に進み、難聴児は聴覚情報の不確実性から助詞の機能理解がさらに遅れやすいため、幼児期から「を・に・が・は」などの使い分けを環境設定や拡張的フィードバック、語彙対比を通じて明示的に指導することが構文獲得を加速します。
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## 【試験対策ポイント】
### 🎯 難聴児の聴覚・言語指導の現代的パラダイム
**古い段階的モデル(