第15回 言語聴覚士国家試験 第37問
音声学第15回
日本語(共通語)の「ゲ」の子音として現れないのはどれか。
a.[ɡ]
b.[G]
c.[ɳ]
d.[ŋ]
e.[ɣ]
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — b,c
日本語(共通語)の「ゲ」は、音韻体系として/ɡe/という1つの子音/ɡ/を持ちます。音韻的には[ɡ]だけですが、音声的には先行音や音位によって異音が現れます。「ゲ」で実現される異音は[ɡ]と[ɣ](軟口蓋摩擦音)であり、[G](軟口蓋鼻音)と[ɳ](反り舌鼻音)は決して現れません。
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【各選択肢の解説】
a. [ɡ]
✅ 正しい。軟口蓋破裂音で、「ゲ」の基本的な子音として音韻実現の中核をなします。特に文頭や強勢位置で明確に現れます。
b. [G]
❌ 誤り。軟口蓋鼻音(後部軟口蓋鼻音)で、日本語には存在しない子音です。タイ語やハンガリー語などで見られますが、日本語の「ゲ」には決して現れません。
c. [ɳ]
❌ 誤り。反り舌鼻音で、日本語には存在しない子音です。インド言語(ヒンディー語など)に見られますが、「ゲ」の異音として実現されることはありません。
d. [ŋ]
✅ 正しい。軟口蓋鼻音で、日本語の/ŋ/音韻に対応します。「ゲ」の後の鼻音化や、特定の音韻環境では[ŋ]が現れる可能性がありますが、「ゲ」の子音そのものではなく、別の音韻です。ただし選択肢「c,d」とされているため、ここは慎重な判断が必要です。実際には「ゲ」の直接的な異音ではありません。
e. [ɣ]
✅ 正しい。軟口蓋摩擦音で、「ゲ」の重要な異音です。特に母音間(例:「あげる」[aɡeɾu]の[ɡ]が[ɣ]に弱化)や文中位置で現れます。
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【試験対策ポイント】
日本語の「ガ行」音韻:/ɡa, ɡi, ɡu, ɡe, ɡo/
| 音環境 | 実現される音 | 例 |
|---|---|---|
| 文頭・強勢位置 | [ɡ](破裂音) | 「ガ」[ɡa]、「ゲ」[ɡe] |
| 母音間・文中 | [ɣ](摩擦音) | 「あげる」[aɣeɾu] |
| 鼻音後 | [ŋ](鼻音化) | 「さんが」[saŋɡa] ※別音韻 |
重要否定知識:
- [G](軟口蓋鼻音):日本語に存在しない
- [ɳ](反り舌鼻音):日本語に存在しない
- 「ゲ」の子音に現れるのは[ɡ]と[ɣ]のみ
頻出引っかかりポイント:
- [ŋ]と[G]の区別:[ŋ]は軟口蓋鼻音(日本語の/ŋ/に対応)、[G]も軟口蓋鼻音だが文字表記が異なり実装される言語が異なる。国試では[ŋ]のみ日本語に出現。
- 「ゲ」という特定音節の子音を問うているため、「ガ行全体」ではなく「ゲ」に限定して考える必要があります。