第15回 言語聴覚士国家試験 第63問
高次脳機能障害第15回
相貌失認について正しいのはどれか。
- 1.目がどれかわからない。
- 2.人の頭と動物の顔の区別がつかない。
- 3.口の動きが分からない。
- 4.声を聞くと誰か分かる。 ✓
- 5.病前から知っている人の顔は誰かわかる。
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — 声を聞くと誰か分かる。
相貌失認(顔貌失認)は顔という視覚的刺激に対してのみ失認が生じる障害です。同じ人物でも声など他の感覚情報は正常に識別できるため、音声情報から人物を同定することは可能です。これにより、相貌失認が純粋な視覚的認識の障害であることが明確になります。
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【各選択肢の解説】
1. 目がどれかわからない。
❌ 誤り。相貌失認は顔全体の認識障害であり、目という「部分」の認識の問題ではありません。相貌失認の患者は目・鼻・口などの個別要素は認識できますが、それらを統合して「その人の顔」として認識できません。
2. 人の頭と動物の顔の区別がつかない。
❌ 誤り。相貌失認患者は「顔」と「非顔」の区別は可能です。障害は「顔という範疇内での個人識別」に限定されており、人間の顔と動物の顔の区別は正常に保たれています。
3. 口の動きが分からない。
❌ 誤り。相貌失認は個人識別の障害であり、口の動きの知覚や言語理解には影響しません。これは純粋に「その顔が誰か」という認識の障害であり、顔の形態的特徴や動きの認知は保たれています。
4. 声を聞くと誰か分かる。
✅ 正しい。相貌失認は顔の視覚情報に対する特異的な失認であり、他の感覚モダリティ(聴覚など)を介した人物識別は正常に保たれています。音声という別ルートで個人識別が可能であることが相貌失認の定義的特徴です。
5. 病前から知っている人の顔は誰かわかる。
❌ 誤り。相貌失認は親密性に関係なく、すべての顔に対して生じます。配偶者や家族の顔でも識別不能です。この「誰でも誰か分からない」ことが相貌失認の診断基準であり、重症度を左右しません。
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【試験対策ポイント】
相貌失認の核となる概念:
| 障害される機能 | 保たれる機能 |
|---|---|
| 顔からの個人識別 | 他の識別線索(声・服装・歩き方) |
| 全ての顔(有名人・家族など) | 顔の基本的知覚(目鼻口の存在認識) |
| 顔から感情推定 | 他の感覚からの情報処理 |
頻出の混同パターン:
・「相貌失認=目が見えない」→誤り(純粋失明ではない)
・「相貌失認=親しい人は分かる」→誤り(全て不可)
・「相貌失認=全ての視覚情報が障害」→誤り(顔特異的)
相貌失認は「視覚皮質の特異的な機能障害」(両側下側頭葉の障害が多い)であり、他覚器を介した同定情報には影響しないことが重要です。