STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第15回 言語聴覚士国家試験 第64問

高次脳機能障害第15回
日常物品の使用訓練が有効な高次脳機能障害はどれか。 a.肢節運動失行 b.観念性失行 c.口舌顔面失行 d.使用行動 e.模倣行動 1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e

正答:1番

解説
■ 正答:1番 — a,b(肢節運動失行と観念性失行) 日常物品の使用訓練が有効な失行は、「道具の使用方法」を再学習できるものです。肢節運動失行と観念性失行は、どちらも物品を実際に操作する訓練によって改善の可能性があります。一方、口舌顔面失行・使用行動・模倣行動は、物品使用訓練では改善しない理由があります。 --- 【各選択肢の解説】 a. 肢節運動失行 ✅正しい。四肢の関節運動(肩・肘・手首など)の順序付けが障害されるため、道具操作の「動きの順序」を学習訓練により改善できます。ハブラシ・スプーン・鍵など日常物品の反復使用訓練が有効です。 b. 観念性失行 ✅正しい。一連の行為の「手順・意味」を忘れている状態です。物品の使用方法を再学習する訓練(ドアを開ける→歩く→座る、という段階的動作の復習)により改善します。記憶の再教育が可能です。 c. 口舌顔面失行 ❌誤り。口・舌・顔面の非言語的な動作(笑う・頭を振る・唇をすぼめるなど)が失行します。日常物品の使用訓練は対象外で、口運動や表情表出の訓練が必要です。 d. 使用行動 ❌誤り。患者が無意識に目の前の物品を手に取って使用してしまう症状です( 例:椅子を見ると座ってしまう)。これは前頭葉機能低下による制御不全であり、物品を与える訓練では悪化する可能性があります。環境調整や抑止訓練が必要です。 e. 模倣行動 ❌誤り。患者が他者の動作や行動を無意識に模倣してしまう現象です。使用行動と同様に前頭葉障害による制御障害であり、物品使用訓練の対象ではありません。環境遮断や行動管理が必要です。 --- 【試験対策ポイント】 失行の分類と訓練の関係性 | 失行のタイプ | 障害部位 | 訓練反応性 | 有効な訓練 | |---|---|---|---| | 肢節運動失行 | 左頭頂葉 | 高い | 日常物品使用訓練(動きの順序練習) | | 観念性失行 | 左頭頂葉・頭頂側頭葉 | 高い | 日常物品使用訓練(手順の再学習) | | 口舌顔面失行 | 左前中心回周辺 | 低い | 口運動・表情訓練 | | 使用行動 | 前頭葉(双側) | 低い | 環境調整・制御訓練 | | 模倣行動 | 前頭葉(双側) | 低い | 環境遮断・行動管理 | 重要な否定知識 使用行動と模倣行動は「前頭葉機能低下による制御障害」です。物品を提示すること自体が症状を増悪させるため、物品使用訓練は禁忌に近い選択肢です。肢節運動失行・観念性失行は「頭頂葉障害」で、運動出力や認知の再学習が可能な失行です。 鑑別のコツ 「訓練反応性が高い失行=物品使用訓練の対象」と覚えてください。肢節運動失行は動きの「パターン」を、観念性失行は動きの「意味・順序」を再学習します。両者とも実践的な物品操作により改善する点が共通しています。
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