第15回 言語聴覚士国家試験 第85問
嚥下障害第15回
正しい組み合せはどれか。
- 1.鼻咽腔閉鎖 ― 改訂水飲みテスト
- 2.声門閉鎖 ― 反復唾液嚥下テスト
- 3.食塊形成 ― 嚥下圧検査
- 4.喉頭挙上 ― 嚥下内視鏡検査
- 5.食道入口部開大 ― 嚥下造影検査 ✓
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — 食道入口部開大 ― 嚥下造影検査
嚥下の各相における現象と、それを評価する検査方法の対応を問う問題です。嚥下は5つの段階的な生理現象から成り立ち、各相で異なる構造が機能するため、それぞれに適切な評価検査が存在します。食道入口部の開大は咽頭期後半の現象であり、嚥下造影検査(VF)で直接観察できる重要な指標です。
---
【各選択肢の解説】
1. 鼻咽腔閉鎖 ― 改訂水飲みテスト
❌ 誤り。改訂水飲みテストは「誤嚥の有無」を簡易的にスクリーニングする検査で、咽頭期全般の機能を評価するものです。鼻咽腔閉鎖(軟口蓋挙上による鼻咽腔の遮断)はむしろ口腔期~咽頭期初期の現象であり、改訂水飲みテストでは詳細に評価できません。VFまたはVE(嚥下内視鏡検査)で評価します。
2. 声門閉鎖 ― 反復唾液嚥下テスト
❌ 誤り。声門閉鎖は咽頭期の重要な現象で、吸気時の気道保護として機能します。反復唾液嚥下テスト(RSST)は嚥下反射の有無と連続嚥下能力を評価する検査であり、声門閉鎖そのものを直接評価するものではありません。声門閉鎖の詳細評価にはVEやVFが必要です。
3. 食塊形成 ― 嚥下圧検査
❌ 誤り。食塊形成は口腔準備期から口腔移送期の現象で、舌の運動によって食物を球形に整形する過程です。嚥下圧検査はマノメトリーで咽頭・食道部の圧力を測定し、嚥下筋の収縮力を評価します。食塊形成の評価にはVFやVE(口腔内の視認)が必要です。
4. 喉頭挙上 ― 嚥下内視鏡検査
❌ 誤り。喉頭挙上は咽頭期の気道保護メカニズムで、嚥下造影検査(VF)で側面からよく観察できます。嚥下内視鏡検査(VE)は咽頭から食道を上方から観察する検査で、喉頭の垂直的な挙上は直接には観察しにくい角度(白いホワイトアウト期間中の評価は困難)です。
5. 食道入口部開大 ― 嚥下造影検査
✅ 正しい。食道入口部(上食道括約筋)の開大は咽頭期後半~食道期初期の現象です。嚥下造影検査(VF)は側面観で食塊の移動と食道入口部の開大を直接観察でき、誤嚥・咽頭残留・食道入口部開大不全など多くの異常を評価できる検査として最適です。
---
【試験対策ポイント】
嚥下の5相と評価検査の対応表:
| 嚥下相 | 主要現象 | 最適評価検査 |
|---|---|---|
| 先行期 | 食物への注意・準備 | 問診・観察 |
| 口腔準備期 | 食塊形成・舌の機械的処理 | VF・VE(口腔内観察) |
| 口腔移送期 | 舌による食塊の咽頭への送り込み | VF・VE |
| 咽頭期(最重要) | 鼻咽腔閉鎖・喉頭挙上・声門閉