STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第16回 言語聴覚士国家試験 第121問

聴覚系第16回
52 歳の男性。3 年前からの両側難聴 、耳鳴を主訴に来院した。鼓膜所見は正常であった。初診時のオージオグラムを図に示す。問診すべき項目で最も重要なのはどれか。【別図あり】
  1. 1.降圧薬内服
  2. 2.抗糖尿病薬内服
  3. 3.喫煙歴
  4. 4.騒音環境下の就労 ✓
  5. 5.中耳炎の既往歴
第16回第121問 図

正答:4番

解説
■ 正答:4番 — 騒音環境下の就労 オージオグラムから高音域(4kHz以上)での聴力低下が顕著であり、両側対称性の急降下パターン(いわゆるC5dip)が認められます。これは騒音暴露による職業性難聴の典型的なパターンです。鼓膜正常で感音難聴であることから、内耳障害が疑われ、問診では騒音環境での就労歴が最も重要な情報になります。 --- 【各選択肢の解説】 1. 降圧薬内服 ❌ 誤り。高血圧そのものが難聴の直接原因になることは稀です。むしろ血流障害などに二次的に関連する可能性は低く、問診における優先度は低いです。 2. 抗糖尿病薬内服 ❌ 誤り。糖尿病が難聴の危険因子になる報告もありますが、本症例の高音域急降下パターンとの関連性は強くありません。優先度は降圧薬内服と同程度に低いです。 3. 喫煙歴 ❌ 誤り。喫煙と難聴の関連性は報告されていますが、本症例の特異的なC5dipパターンを説明する最有力要因ではありません。 4. 騒音環境下の就労 ✅ 正しい。高音域(特に4kHz)での両側対称性の急降下は騒音誘発難聴(NIHL:Noise-Induced Hearing Loss)の典型的なオージオグラム所見です。職業性暴露が強く疑われるため、就労環境の詳細な聴取が診断確定に最も重要です。 5. 中耳炎の既往歴 ❌ 誤り。鼓膜所見が正常で、感音難聴のパターンが明確であるため、過去の中耳炎は現在の聴力低下の主要原因とは考えられません。 --- 【試験対策ポイント】 オージオグラムパターンと鑑別診断(高音域急降下の場合) | 原因 | オージオグラム特徴 | 優先問診項目 | 備考 | |---|---|---|---| | 騒音誘発難聴(NIHL) | C5dip(4kHz急降下) | 騒音環境就労歴・期間・防音対策 | 両側対称、感音難聴 | | 加齢性難聴 | 緩やかな高音域低下 | 年齢・家族歴 | 徐々に進行 | | メニエール病 | 低音域優先低下 | 眩暈・耳鳴・変動性 | 一側性が多い | | 薬物性難聴 | 高音域低下(多彩) | アミノグリコシド系抗生物質・抗癌薬 | 両側進行性 | | 騒音外傷 | 4kHz急速低下 | 爆発音への暴露 | 急速発症 | 重要な否定知識: - C5dipパターン=騒音誘発難聴が最有力(降圧薬・抗糖尿病薬・中耳炎既往では説明困難) - 鼓膜正常=中耳障害は除外 - 両側対称=片側疾患(腫瘍など)は除外
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