STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第28回 言語聴覚士国家試験 第92問

聴覚系第28回
聴覚伝導路について正しいのはどれか。
  1. 1.顔面神経核とは連絡がない。
  2. 2.蝸牛神経の細胞体は蝸牛神経核にある。
  3. 3.同側の伝導路作用の方が対側よりも優勢である。
  4. 4.内側膝状体においては周波数局在性がみられない。
  5. 5.上オリーブ核において左右の伝導路の交叉がある。 ✓

正答:5番

解説
# 第28回 第92問 解説 ■ 正答:**5番** — 上オリーブ核において左右の伝導路の交叉がある 上オリーブ核は蝸牛神経核の直後の中継地点であり、**左右両側からの聴覚情報が統合される重要な部位**です。ここで両耳からの聴覚信号が初めて統合され、音の方向定位(音がどこから聞こえるか)の処理が行われます。上オリーブ核のニューロンは両側の蝸牛神経核から双方向性の入力を受けており、左右の対側路の交叉が著明に存在するのが特徴です。 --- 【各選択肢の解説】 **1. 顔面神経核とは連絡がない。** ❌ 誤り。聴覚伝導路は蝸牛神経核から上オリーブ核・下丘・内側膝状体を経由して聴覚皮質に至りますが、**一部の神経は顔面神経核(特に涙腺反射や耳管反射に関連する反射弓)と連絡**があります。完全に独立した系ではなく、他の脳神経系との相互連絡が存在します。 **2. 蝸牛神経の細胞体は蝸牛神経核にある。** ❌ 誤り。蝸牛神経の細胞体(第一次ニューロンの細胞体)は**蝸牛神経核ではなく、スパイラル神経節(蝸牛内)**に存在します。蝸牛神経核は蝸牛神経が最初にシナプスする中枢神経系の核であり、第二次ニューロンの細胞体が集まる場所です。この distinction は解剖学的に重要です。 **3. 同側の伝導路作用の方が対側よりも優勢である。** ❌ 誤り。聴覚伝導路は蝸牛神経核の段階から**対側への交叉が優勢**です。蝸牛神経核から上オリーブ核・外側毛帯への投射において、大多数の線維は対側に交叉します。臨床的には**一側の聴覚皮質が両耳の聴覚情報を処理する**ため、単一側の障害では完全性難聴に至りません(対側からの入力が補償)。 **4. 内側膝状体においては周波数局在性がみられない。** ❌ 誤り。内側膝状体(内膝状体、MGB)は視床の聴覚中継核であり、**高い周波数局在性(tonotopic organization)が認められます**。低周波数は背側に、高周波数は腹側に配置される地図状配列があり、聴覚皮質(Heschl回、BA41–42)へ投射される時点でも周波数の順序が保持されます。 **5. 上オリーブ核において左右の伝導路の交叉がある。✅** **正しい。** 上オリーブ核(SOC)は蝸牛神経核直後の最初の双側統合中枢です。ここで左右の蝸牛神経からの入力が**顕著に交叉**し、両耳間の時間差と強度差を処理することで音の方向定位が実現されます。 --- 【試験対策ポイント】 **聴覚伝導路の全体像(蝸牛→聴覚皮質)**: | 部位 | 特徴・機能 | |---|---| | 蝸牛(内耳) | 周波数別のトノトピック配列。基底膜の振動周波数が周波数認識を決定 | | スパイラル神経節 | **蝸牛神経の第一次ニューロン細胞体**(最初の中継点ではない) | | 蝸牛神経核(延髄) | 第一中継。背側
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