第28回 言語聴覚士国家試験 第122問
嚥下障害第28回
可逆性の難聴を生じる薬物はどれか。
a.アスピリン
b.フロセミド(ループ利尿薬)
c.シスプラチン
d.ゲンタマイシン
e.ストレプトマイシン
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:1番
解説
# 第28回 第122問 解説
■ 正答:**1番 — a,b(アスピリン、フロセミド)**
可逆性の難聴を生じる薬物を選ぶ問題です。**可逆性**(投与中止で回復する)と**不可逆性**(投与中止後も残存)の区別が重要な知識です。
---
## 【ポイント解説】
### 選択肢の薬物と難聴の関連性
| 薬物 | 可逆性・不可逆性 | 機序・特徴 |
|---|---|---|
| **a. アスピリン** | **可逆性** ✅ | 高用量で一時的な可逆性難聴を生じる。中止で回復。蝸牛機能一時的障害 |
| **b. フロセミド**(ループ利尿薬) | **可逆性** ✅ | 血管条のイオンポンプ機能阻害による一時的な内リンパ産生低下。中止で回復。急性難聴 |
| **c. シスプラチン** | **不可逆性** ❌ | 抗がん剤。内耳有毛細胞(特に外有毛細胞)への直接的な遺伝毒性。用量依存的。中止後も残存 |
| **d. ゲンタマイシン** | **不可逆性** ❌ | アミノグリコシド系抗菌薬。内耳前庭部・蝸牛部の有毛細胞を破壊。投与中止後も進行することもある。累積毒性 |
| **e. ストレプトマイシン** | **不可逆性** ❌ | アミノグリコシド系。前庭毒性が強く(ゲンタマイシンより聴覚毒性は軽い傾向)。有毛細胞の不可逆的障害 |
---
## 【各選択肢の解説】
**1. a,b(アスピリンとフロセミド)**
✅ **正しい。** 両薬物とも投与中止により難聴が回復する可逆性難聴を引き起こす。投与中は聴力低下を認めても、血液中濃度が低下すると内耳機能が回復する。ST臨床では高齢患者がこれらを服用していないか確認が重要。
**2. a,e(アスピリンとストレプトマイシン)**
❌ 誤り。ストレプトマイシンは不可逆性難聴を生じる。
**3. b,c(フロセミドとシスプラチン)**
❌ 誤り。シスプラチンは不可逆性難聴を生じ、有毛細胞の不可逆的障害による。
**4. c,d(シスプラチンとゲンタマイシン)**
❌ 誤り。両薬物ともに不可逆性難聴。
**5. d,e(ゲンタマイシンとストレプトマイシン)**
❌ 誤り。両薬物ともアミノグリコシド系で不可逆性難聴を生じる。
---
## 【試験対策ポイント】
### ◆ **可逆性vs不可逆性の区別が頻出**
**可逆性難聴**(投与中止で回復):
- **アスピリン**(高用量)→ 音響刺激と同様に一時的に蝸牛機能を抑制
- **ループ利尿薬**(フロセミド・ブメタニド)→ 血管条の機能が一時的に低下
**不可逆性難聴**(投与中止後も残存):
- **アミノグリコシド系**(ゲンタマイシン・ストレプトマイシン・アミカシン)→ 内耳有毛細胞の遺伝毒性・細胞死
- **白金製