第28回 言語聴覚士国家試験 第24問
聴覚系第28回
聴性脳幹反応(ABR)の第Ⅰ波の起源はどれか。
- 1.下丘
- 2.蝸牛神経 ✓
- 3.蝸牛神経核
- 4.外側毛帯
- 5.上オリーブ核
正答:2番
解説
# 第28回 第24問 解説
■ 正答:2番 — 蝸牛神経
聴性脳幹反応(ABR)の第Ⅰ波は、**蝸牛神経の活動電位**に由来します。蝸牛内の有毛細胞が音刺激を受けて脱分極し、その信号が蝸牛神経(前庭蝸牛神経の蝸牛部)を伝導する際に最初に記録される活動電位がⅠ波です。中枢神経系内での神経核の活動ではなく、末梢の神経そのものが発生源となるため、ABRの各波の中で最も末梢側に由来する波です。
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【各選択肢の解説】
1. 下丘
❌ 誤り。下丘はABRの第Ⅳ波の起源部位です。聴覚中枢伝導路の比較的上位(中脳レベル)に位置し、外側毛帯を経由した信号が集約される核です。
2. 蝸牛神経
✅ 正しい。第Ⅰ波はこの末梢神経の活動電位に由来します。蝸牛内の有毛細胞(内有毛細胞が主)が音刺激で脱分極し、その電気信号が蝸牛神経を伝導する瞬間の活動です。
3. 蝸牛神経核
❌ 誤り。蝸牛神経核はABRの第Ⅱ波の起源です。蝸牛神経が延髄の蝸牛神経核に入力した時点での活動を反映します。ただし、Ⅱ波の成因には複数の核の関与説もあります。
4. 外側毛帯
❌ 誤り。外側毛帯は上オリーブ核から下丘へ向かう上行性の白質路です。ABRの第Ⅲ波(上オリーブ核)以降に関与しますが、Ⅰ波の起源ではありません。
5. 上オリーブ核
❌ 誤り。上オリーブ核はABRの第Ⅲ波の起源です。両側の蝸牛神経核からの入力を受け、両耳の音の到達時間差や強度差を比較する機能を持ちます。
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【試験対策ポイント】
**ABR各波の起源と潜時を確実に覚える**:
| 波 | 起源 | 潜時(目安) | 臨床的意義 |
|---|---|---|---|
| Ⅰ波 | 蝸牛神経 | 1.0〜1.5ms | 末梢聴覚機能を示す。外耳道〜蝸牛の状態反映 |
| Ⅱ波 | 蝸牛神経核 | 2.0〜2.5ms | 延髄レベル。成因に異議あり |
| Ⅲ波 | 上オリーブ核 | 3.5〜4.0ms | 脳幹下部。両耳比較機能の指標 |
| Ⅳ波 | 下丘(内側膝状体との中間説も) | 5.0〜5.5ms | 中脳レベル |
| Ⅴ波 | 下丘または内側膝状体 | 5.5〜6.5ms | 脳幹上部。患者協力度不要で信頼性最高 |
**臨床活用の重要知識**:
- **Ⅰ〜Ⅴ波間潜時(IPL)の延長**は聴神経腫瘍(前庭神経鞘腫)の指標。Ⅰ波潜時が正常でIPLが延長=中枢性障害を示唆
- **Ⅰ波が出現しない**場合は聴力が極めて悪い(高度〜重度難