第16回 言語聴覚士国家試験 第120問
聴覚系第16回
後迷路性難聴で正しいのはどれか。
- 1.気骨導差が大きい
- 2.語音明瞭度が高い
- 3.補充現象は認められない 。 ✓
- 4.耳音響放射が障害される。
- 5.聴性脳幹反応は正常である 。
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — 補充現象は認められない
後迷路性難聴(後迷路障害)は蝸牛より中枢側の障害(聴神経・脳幹・大脳皮質)であり、蝸牛機能は保たれているため補充現象(loudness recruitment)は認められません。補充現象は蝸牛性難聴の特徴的な所見であり、後迷路性では原則としてこの現象は起こりません。
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【各選択肢の解説】
1. 気骨導差が大きい
❌ 誤り。気骨導差の有無は導音成分の障害を示すもので、後迷路性難聴では気骨導差は認められません。気骨導差が大きいのは「伝音難聴」または蝸牛より末梢の障害です。後迷路性では気導・骨導ともに低下し、差は小さいか認められません。
2. 語音明瞭度が高い
❌ 誤り。後迷路性難聴では言語情報の処理障害により語音明瞭度は低下します。蝸牛性難聴では聴力レベルの割に明瞭度が比較的保たれやすいのに対し、後迷路性は明瞭度の低下が目立ちます。このため「語音明瞭度の低下」は後迷路性難聴の特徴です。
3. 補充現象は認められない
✅ 正しい。蝸牛機能が正常であるため、音圧を上げても過度な大きさの知覚増加(補充現象)は起こりません。補充現象は蝸牛有毛細胞の障害によって生じるため、蝸牛が温存される後迷路性では認められません。
4. 耳音響放射が障害される
❌ 誤り。耳音響放射(OAE)は蝸牛外有毛細胞から発生する音響エネルギーであり、蝸牛機能を反映します。後迷路性難聴では蝸牛は温存されているため、OAEは正常です。OAEが障害されるのは「蝸牛性」またはそれより末梢の障害です。
5. 聴性脳幹反応は正常である
❌ 誤り。聴性脳幹反応(ABR)は聴神経・脳幹の伝導機能を評価する検査です。後迷路性難聴は聴神経・脳幹の障害そのものであるため、ABRは異常を示します。ABRが正常であれば後迷路性ではなく「後脳幹性」(大脳皮質など)の可能性があります。
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【試験対策ポイント】
後迷路性難聴の鑑別 ー各検査結果の違い
| 検査項目 | 伝音難聴 | 蝸牛性難聴 | 後迷路性難聴 |
|---|---|---|---|
| 気骨導差 | あり | なし | なし |
| 補充現象 | なし | あり | なし |
| 語音明瞭度 | 正常〜良好 | 比較的良好 | 低下 |
| OAE | 正常 | 異常 | 正常 |
| ABR | 正常 | 異常 | 異常 |
| 聴力型 | 伝音型 | 感音型 | 感音型 |
重要な区別点:
- 「気骨導差がない」=蝸牛以上の障害(蝸牛性+後迷路性共通)
- 「補充現象あり」=蝸牛性に限定(最も蝸牛性を指す所見)
- 「語音明瞭度の著しい低下」=後迷路性の特徴
- 「OAEが正常&ABRが異常」=後迷路性(蝸牛は温存・神経障害)
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