STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第16回 言語聴覚士国家試験 第146問

言語発達学第16回
メタ言語能力でないのはどれか。
  1. 1.能動文を受動文に言い換えられる 。
  2. 2.文や発話の適切性を判断できる。
  3. 3.単語の語尾音を抽出できる。
  4. 4.文法の誤りを訂正できる。
  5. 5.過去の出来事を説明できる。 ✓

正答:5番

解説
■ 正答:5番 — 過去の出来事を説明できる メタ言語能力とは「言語そのもの(文法・音韻・語彙など)を対象にして、客観的に分析・操作する能力」です。過去の出来事を説明することは「内容を言語で表現する」という言語使用能力であり、言語自体を対象にしていないため、メタ言語能力ではありません。 --- 【各選択肢の解説】 1. 能動文を受動文に言い換えられる ✅ メタ言語能力。文法構造を意識的に分析し、文型そのものを操作する行為です。これは言語形式を対象にした典型的なメタ言語能力です。 2. 文や発話の適切性を判断できる ✅ メタ言語能力。「その文は状況に応じて適切か」と、言語使用の規範性を判断することは、言語そのものをメタ認知的に評価する能力です。 3. 単語の語尾音を抽出できる ✅ メタ言語能力。単語を音韻レベルで分析し、特定の音を意識的に取り出す音韻認識能力は、音言語を対象にしたメタ言語能力の典型例です。 4. 文法の誤りを訂正できる ✅ メタ言語能力。文法の規則性を意識的に認識し、その違反を検出・訂正する能力は、言語形式への明示的な注意に基づいています。 5. 過去の出来事を説明できる ❌ メタ言語能力ではない。これは「言語内容(過去の経験)」を言語で叙述する能力であり、「言語そのもの」を対象にしていません。回想や物語理解に基づく言語使用能力であり、言語形式の分析ではありません。 --- 【試験対策ポイント】 メタ言語能力(metalinguistic awareness)の定義と具体例 | カテゴリ | 具体例 | 対象 | |---|---|---| | **メタ言語能力である** | 文型変換(能動→受動) | 文法構造 | | | 文法誤りの訂正 | 文法規則 | | | 音韻分析(音の抽出) | 音韻体系 | | | 文の適切性判断 | 用法規範 | | | 言い換え・同義文認識 | 意味関係 | | **メタ言語能力ではない** | 内容の説明・叙述 | 言語外の事実 | | | 物語の理解 | 意味内容 | | | 日常会話 | 交信機能 | 発達段階:メタ言語能力は学童期(特に6~8歳以降)に著しく発達。就学前児では音韻認識が先行して発達し、文法的メタ言語能力は後続的に発達します。 キーワード:「言語『そのもの』を対象にしているか」で判定。言語の内容ではなく、形式・構造・規則性そのものの認識が鍵です。
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