第28回 言語聴覚士国家試験 第66問
言語発達学第28回
子どもの談話について誤っているのはどれか。
- 1.ナラティブには空想の物語が含まれる。
- 2.ナラティブは子どもの価値観が反映される。
- 3.スクリプトはナラティブ産出能力の土台となる。
- 4.自分の体験を語るのはフィクショナルナラティブである。 ✓
- 5.幼児期は会話の話題が変わりやすい。
正答:4番
解説
# 第28回 第66問 解説
■ 正答:4番 — 自分の体験を語るのはフィクショナルナラティブである。
自分の体験を語ることは**パーソナルナラティブ**(または**実体験ナラティブ**)であり、フィクショナルナラティブ(空想の物語)ではありません。ナラティブの分類では、「実際に起きた体験」と「架空の物語」は明確に区別される重要な概念です。
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【各選択肢の解説】
1. ナラティブには空想の物語が含まれる。
✅ 正しい。ナラティブは実体験ナラティブ(自分が経験した出来事)とフィクショナルナラティブ(空想や創作の物語)に分けられます。フィクショナルナラティブは子どもの創意工夫や想像力を反映しており、発達段階によって複雑さが異なります。
2. ナラティブは子どもの価値観が反映される。
✅ 正しい。子どもが何をナラティブのテーマに選び、どのような因果関係や人物評価を述べるかには、その子どもの価値観・関心・経験背景が顕著に反映されます。特に3語文以降は、子ども自身の視点や思い込みがストーリーに現れやすくなります。
3. スクリプトはナラティブ産出能力の土台となる。
✅ 正しい。スクリプト(繰り返される日常的な活動の知識体系:朝起きて歯を磨いて…など)は、時系列の理解や事象の連鎖を学ぶ基盤となります。スクリプト知識がしっかり発達することで、より複雑なナラティブ(目標・葛藤・解決の構成を持つ話)を産出できるようになります。
4. 自分の体験を語るのはフィクショナルナラティブである。
❌ **誤り。** 自分の体験を語ることは**パーソナルナラティブ**(実体験ナラティブ)です。フィクショナルナラティブ(虚構のナラティブ)とは、実際には起きていない空想の物語を指します。この2つは発達段階や認知的要求度が異なるため、区別する必要があります。
5. 幼児期は会話の話題が変わりやすい。
✅ 正しい。2語文~3語文期の幼児は、その時々の興味や刺激に反応しやすく、会話の話題が急に転換することが特徴です。目標志向的な会話スキル(相手の関心を考慮して話題を続ける)は学童期に発達します。
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【試験対策ポイント】
**ナラティブ発達の段階的理解が重要です:**
| 年齢段階 | 特徴 | ナラティブのタイプ |
|---|---|---|
| 2~3歳 | 単語・2語文。話題転換が頻繁 | 断片的な回想のみ |
| 3~4歳 | スクリプト知識の発展。因果関係の初期理解 | 系列的ナラティブ(「○○して、それから~」) |
| 4~5歳 | 実体験の語り手としての成熟。パーソナルナラティブが流暢化 | パーソナルナラティブが中心 |
| 5~6歳以降 | 空想物語の産出開始。物語の文法的構造を意識 | フィクショナルナラティブも産出可能 |
**重要な用語の区別:**
- **パーソナルナラティブ**=自分が経験した実際の出来事を時系列で述べたもの
- **フィクショナルナラティブ**=架空の設定や登場人物による物語(「昔々あるところに…」型)