第28回 言語聴覚士国家試験 第47問
言語発達学第28回
対幼児発話(child directed speech)の特徴でないのはどれか。
- 1.繰り返し
- 2.ゆっくりした速度
- 3.大きい抑揚
- 4.低いピッチ ✓
- 5.短い文
正答:4番
解説
# 第28回 第47問 解説
■ 正答:4番 — 低いピッチ
対幼児発話(マザリーズ)は、幼児が言語を習得しやすいよう大人が自動的に調整する話し方です。**ピッチは高くなる**のが特徴であり、低いピッチは対幼児発話の特徴ではありません。
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【各選択肢の解説】
1. **繰り返し**
✅ 正しい。「わんわん、わんわんだね」など、同じ語や句を繰り返し使うことで、幼児の音韻学習と語彙獲得を促進します。
2. **ゆっくりした速度**
✅ 正しい。通常の成人発話(約4〜5音節/秒)より遅い速度になります。幼児の処理能力に合わせるため音響的に明瞭化され、音韻弁別と聴理解が容易になります。
3. **大きい抑揚**
✅ 正しい。**誇張されたイントネーション**が使用されます。抑揚の変化が大きいことで注意喚起効果が高まり、文の意味境界がより明確に認識されやすくなります。
4. **低いピッチ**
❌ 誤り。対幼児発話は**高いピッチ**が特徴です。女性・男性を問わず、幼児に話しかけるときは自然と基本周波数(F0)が上昇します。幼児の注意を喚起し、感情的温かさを伝える機能があります。
5. **短い文**
✅ 正しい。文法的に簡潔で、平均文長(MLU)が短くなります。幼児の処理能力の限界に適合し、理解と模倣を促進します。
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【試験対策ポイント】
**対幼児発話(マザリーズ)の5大特徴**:
| 特徴 | 機能 | 言語習得への効果 |
|---|---|---|
| 高いピッチ | 注意喚起・感情的親密性 | 社会的相互作用を促進 |
| 誇張された抑揚 | 意味境界の明確化 | 音韻と文構造の知覚を支援 |
| ゆっくりした速度 | 音響的時間伸張 | 音韻分析・音節境界認識が容易 |
| 短い文(簡潔な文法) | 認知的負荷軽減 | 理解と模倣が可能に |
| 繰り返し | 強化・定着化 | 新奇語彙の習得機会増加 |
**出題の陥阱**:「大きい」と「低い」という形容詞への混同。対幼児発話は「ピッチは高く・抑揚は大きい(誇張)」という正反対の特性を持ちます。「低いピッチ」は成人間の落ち着いた会話に該当し、言語習得を支援する特徴ではありません。
**関連知識**:Motherese(マザリーズ)はFerguson(1964)が初めて体系化し、その後の発達心理学・言語発達学の重要な研究テーマになりました。保育実践やST支援でも家族への「子どもへの話しかけ方指導」に直結する知識です。