第16回 言語聴覚士国家試験 第25問
認知心理学第16回
知覚について誤っている組み合わせはどれか。
- 1.周辺視 ― 錐 体 ✓
- 2.群化の法則 ― 近接の要因
- 3.知覚の恒常性 ― 月の錯視
- 4.陰性残像 ― 補 色
- 5.仮現運動 ― 最適時相
正答:1番
解説
■ 正答:1番 — 周辺視 ― 錐体
周辺視は網膜の周辺部で起こる視覚ですが、網膜周辺部は桿体が優位で、錐体ではなく桿体で担われます。錐体は網膜中心窩に密集しており、中心視(詳細で色覚を担う視覚)に関わります。この組み合わせは誤りです。
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【各選択肢の解説】
1. 周辺視 ― 錐体
❌ 誤り。周辺視は網膜周辺部での視覚であり、この領域は桿体が優位です。錐体は網膜中心窩に密集し、中心視(高い視力と色覚)を担当します。周辺視は桿体によって支えられており、明視度の低い条件下での感度が高いのはこのためです。
2. 群化の法則 ― 近接の要因
✅ 正しい。群化の法則(ゲシュタルト原理)の一つが「近接の要因」で、空間的に近い要素は心理的にも一つのグループとして知覚されます。これは知覚組織化の重要な原理です。
3. 知覚の恒常性 ― 月の錯視
✅ 正しい。月の錯視(地平線錯視)は知覚の恒常性の代表例です。地平線近くで月が大きく見えるのは、周囲の景物との相対的な大きさ判断により、脳が一定の見えを保とうとする恒常性が働くためです。
4. 陰性残像 ― 補色
✅ 正しい。陰性残像(同色残像)は色刺激の消失後に補色が見える現象です。例えば赤い光を見た後は、青緑色の残像が生じます。これは網膜錐体の色委縮(adaptation)により、消失した色の対色が相対的に強調されるためです。
5. 仮現運動 ― 最適時相
✅ 正しい。仮現運動は連続した静止画が運動に見える現象で、刺激間隔(時相)が最適な値(通常50~200ms程度)の時に最も効果的に生じます。この最適時相を「最適刺激間隔」と呼びます。
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【試験対策ポイント】
網膜の基本構造(必須)
| 領域 | 主要細胞 | 特徴 | 視覚機能 |
|---|---|---|---|
| 中心窩 | 錐体のみ | 最高密度(約20万個/mm²) | 詳細視・色覚・高視力 |
| 網膜中心部 | 錐体>桿体 | 錐体優位 | 色覚・昼間視覚 |
| 網膜周辺部 | 桿体>>錐体 | 桿体優位 | 夜間視覚・周辺視野 |
| 盲点 | なし | 視神経乳頭 | 視覚なし |
知覚原理の整理
- ゲシュタルト原理:群化(近接・類似・連続・閉合)→組織化と恒常性は別概念
- 知覚の恒常性:刺激条件の変化に関わらず知覚を一定に保つ現象(大きさ恒常性・色恒常性など)
- 錯視は恒常性機構が誤作動する例
残像の種類
- 陽性残像:刺激中止直後に同じ色の像が見える(網膜疲労)→短い
- 陰性残像(同色残像):刺激中止後に補色が見える(色適応)→より長く持続
仮現運動の条件
- 刺激間隔(SOA):40~300ms程度で起こり、50~200msで最適
- Phi現象:刺激が