第16回 言語聴覚士国家試験 第42問
聴覚心理学第16回
音の高さについて誤っているのはどれか。
- 1.音の振動周波数に関係する 。
- 2.メル尺度で表される。
- 3.1, 000 Hz、40 dB SPL の純音を基準にする。
- 4.周期的複合音の基音がなくても感じる。
- 5.1オクターブは2 倍の高さの違いに感じる。 ✓
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — 1オクターブは2倍の高さの違いに感じる
音の高さの知覚は周波数に対して対数的に関係しています。1オクターブは周波数が2倍になることを意味しますが、知覚される「高さの違い」の大きさは線形ではなく、周波数が高くなるほど同じ倍率の周波数差でも高さの違いとして感じられる量が小さくなります。つまり、1オクターブが常に同じ大きさの高さの違いに感じられるわけではなく、周波数レベルに依存して変わります。
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【各選択肢の解説】
1. 音の振動周波数に関係する
✅ 正しい。音の高さは振動周波数に直接関係しており、周波数が高いほど高く感じ、周波数が低いほど低く感じます。これが音の高さの知覚の基本原理です。
2. メル尺度で表される
✅ 正しい。メル尺度は音の高さの知覚量を定量的に表す尺度で、1,000Hz、40dB SPLの純音を基準(1,000mel)として設定されています。周波数と知覚される高さの関係を表現する標準的な指標です。
3. 1,000Hz、40dB SPLの純音を基準にする
✅ 正しい。これはメル尺度の定義そのものです。この刺激を基準値である1,000melとして、他の周波数や音圧の純音がどの程度の高さに感じられるかを測定します。
4. 周期的複合音の基音がなくても感じる
✅ 正しい。「虚の基音」(virtual pitch)現象として知られており、基音(最低周波数成分)が物理的に含まれていなくても、倍音の周波数関係から脳が基音の高さを知覚することが実験的に証明されています。
5. 1オクターブは2倍の高さの違いに感じる
❌ 誤り。1オクターブは周波数が2倍になることですが、知覚される高さの「差」は一定ではありません。特に高周波域では周波数比2倍でも低周波域ほど大きな高さの違いに感じられません。つまり、高さの知覚は対数的ですが、オクターブという周波数比が常に同じ大きさの主観的な高さの差に相当するわけではないという点が誤りです。
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【試験対策ポイント】
| 尺度 | 基準値 | 特徴 |
|---|---|---|
| Hz | 周波数そのもの | 物理量(線形) |
| メル | 1,000Hz 40dB SPL = 1,000mel | 知覚量(対数的) |
| セント | 半音 = 100セント | 周波数比の対数表現 |
| オクターブ | 周波数2倍 | 周波数比を表すが、知覚される高さの「差」は一定ではない |
【キーワード】
- 虚の基音:基音がなくても倍音パターンから知覚される現象
- メル尺度:知覚的な高さを定量化した尺度
- 対数則:音の高さ知覚は周波数に対して対数的に関係
- オクターブ=周波数2倍(物理量)≠ 一定の高さの差(知覚量)