第16回 言語聴覚士国家試験 第43問
言語学第16回
誤っているのはどれか。
- 1.音や単語が一次元に配列される性質を「線状性」という。
- 2.新たな単語や文を作り出す性質を「生産性」と いう。
- 3.意味する ものと意味されるものとの聞に必然的な関係がないことを「恋意性」という。
- 4.文が文脈中で適切に使用されているか否かの母語発話の直観的判断を「文法性判断」という。 ✓
- 5.文を形態素に、形態素を音素に分解できる性質を「二重分節性」という。
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — 文が文脈中で適切に使用されているか否かの母語発話の直観的判断を「文法性判断」という。
「文法性判断」(grammaticality judgment)は、文が文法的に正しいかどうかを判断することであり、文脈での「適切性」を判断することではありません。文脈での使用の適切性を判断するのは「容認可能性判断」(acceptability judgment)です。文法性と容認可能性は異なる概念であり、文法的に正しくても文脈で不適切な場合や、その逆が存在します。
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【各選択肢の解説】
1. 音や単語が一次元に配列される性質を「線状性」という。
✅ 正しい。言語学の基本原理であり、言語は時間軸上に順序立てて配列される特性を持ちます。これはソシュールが指摘した言語の本質的特性の一つです。
2. 新たな単語や文を作り出す性質を「生産性」という。
✅ 正しい。有限の音素・形態素から無限の新しい表現を創出できる能力を指します。これは言語の創造性(creativity)と同義で、人間言語の独有の特性です。
3. 意味するものと意味されるものとの間に必然的な関係がないことを「恋意性」という。
✅ 正しい。「恣意性」(arbitrariness)を指しており、「犬」という音と「犬」という概念に本質的な繋がりはないという原理です。(ただし設問は「恋意性」と誤字表記されていますが、意味内容としては正しい説明です。)
4. 文が文脈中で適切に使用されているか否かの母語発話の直観的判断を「文法性判断」という。
❌ 誤り。これは「容認可能性判断」(acceptability judgment)の説明です。文法性判断は「文が言語の文法規則に従っているか否か」を判断するもので、文脈での適切性とは区別されます。例えば「色のない緑の思想は激しく眠る」は文法的に正しくても容認不可能です。
5. 文を形態素に、形態素を音素に分解できる性質を「二重分節性」という。
✅ 正しい。二重分節性(double articulation)は、言語が2段階の分節を持つことを指します:第一分節は文→文節→形態素への分解、第二分節は形態素→音素への分解であり、言語の効率性を生む重要な特性です。
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【試験対策ポイント】
言語の基本性質の定義整理
| 概念 | 定義 | 具体例 |
|---|---|---|
| 線状性 | 言語は時間軸上に一次元に配列される | 音や単語は順番に並ぶ |
| 生産性 | 有限の要素から無限の新表現が創出可能 | 新造語・新文の作成 |
| 恣意性 | 記号と意味の間に必然的関係がない | 「犬」と犬の概念 |
| 二重分節性 | 2段階の分節構造(大→小→最小単位) | 文→形態素→音素 |
| **容認可能性** | **文脈での使用の適切性判断** | **「私は学生だ」は文法的で容認可能** |
| **文法性** | **言語体系内での規則遵守の判断** | **「私am学生だ」は非文法的** |
紛らわしい概念の区別
文法性判断 vs 容認可能性判断
- 文法性:体系内規則との合致度(言語学的判断)
- 容認可能性:文脈・状況での自然さ(心理言語学的判断)
→同じ文が「文法的だが容認不可能」または「非文法的だが文脈で受容可能」にな