STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第16回 言語聴覚士国家試験 第68問

言語発達障害学第16回
16 歳、高校生の男子。主訴は「授業がわからない」実施すべき検査はどれか a.WAIS-III成人知能検査 b.LCスケール c.K-ABC心理・教育アセスメ ントバッテリー d.DN-CAS 認知評価システ ム e.抽象語理解力検査 1. a,b,c 2. a,b,e 3. a,d,e 4. b,c,d 5. c,d,e

正答:3番

解説
■ 正答:3番 — a,d,e 16歳の高校生が「授業がわからない」という訴えを評価するには、一般知能検査(WAIS-III)で全体的な認知能力を把握し、認知過程の詳細な評価(DN-CAS)で処理速度や注意の問題を検出し、言語理解力の評価(抽象語理解力検査)で学習に必要な高次言語機能を測定する必要があります。これらにより、学業不振の背景にある認知・言語的要因を多面的に同定できます。 --- 【各選択肢の解説】 a. WAIS-III成人知能検査 ✅ 正しい。16歳は成人知能検査の対象年齢です。全体的なIQ、言語理解・知覚組織化・処理速度・作動記憶の4因子を測定でき、学習困難の原因が知能発達の遅滞か、特定の認知領域の弱さか、を区別できます。 b. LCスケール ❌ 誤り。LCスケールは幼児の言語発達を評価する乳幼児期用の検査です。16歳の高校生には対象年齢が低すぎて不適切です。 c. K-ABC心理・教育アセスメントバッテリー ❌ 誤り。K-ABCは対象年齢が2.5~12.5歳(一部では更に若い)と定められており、16歳の評価には適していません。また段階的推論や同時処理など子どもの認知過程評価に特化しています。 d. DN-CAS認知評価システム ✅ 正しい。PASS理論に基づき、計画機能・注意・同時処理・継次処理の4つの認知過程を評価します。16歳対象で、「授業がわからない」背景にある処理速度や注意機能の障害を検出できます。 e. 抽象語理解力検査 ✅ 正しい。高校レベルの授業理解には抽象的思考が不可欠です。抽象語理解力検査で言語的な高次認知機能(メタ言語能力)を測定することで、学習困難が言語理解の問題に由来するかを判定できます。 --- 【試験対策ポイント】 【知能・認知検査の対象年齢と用途】 | 検査名 | 対象年齢 | 主な測定対象 | 用途 | |---|---|---|---| | WAIS-III | 16~89歳 | 全般IQ、4因子 | 成人・高校生の知能評価 | | WISC-III/IV | 6~16歳11ヶ月 | 児童知能、4~5因子 | 学齢期児童の発達評価 | | K-ABC | 2.5~12.5歳 | PASS理論、処理様式 | 幼児~小学生の認知評価 | | DN-CAS | 5~17歳 | PASS理論の詳細評価 | 認知処理障害の同定 | | LCスケール | 乳幼児(低年齢) | 言語発達段階 | 発達初期評価 | 【「授業がわからない」の評価に必要な3層】 1. 全般知能レベル(WAIS-III)→ 発達障害の有無・程度 2. 認知処理過程(DN-CAS)→ 特定の弱点領域(注意・処理速度など) 3. 言語理解機能(抽象語理解力検査)→ 学習に必要な高次言語機能 【よくある間違い】 - K-ABCは「小学生までが対象」と覚える。高校生には用いない - 幼児期の検査(LCスケール)と学齢期検査の年齢上限を混同しやすい - 同じPASS理論でもK-ABCとDN-CASは対象年齢が異なることに注意
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