第16回 言語聴覚士国家試験 第67問
言語発達障害学第16回
注意欠陥/多動性障害について正しいのはどれか 。
a.5歳以前には症状は発現しない 。
b.成人になると大部分自然治癒する。
c.不注意優勢型は男児に多い 。
d.自尊感情の低下がみられる。
e.行為障害を合併しやすい
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — d、e
ADHD(注意欠陥/多動性障害)は、不注意・衝動性・過動性を主徴とする神経発達障害です。自尊感情の低下は社会的困難から生じやすく、行為障害との併存率が高いため、dとeが正しいです。
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【各選択肢の解説】
a. 5歳以前には症状は発現しない。
❌ 誤り。ADHDの症状は幼児期(3~4歳)から既に観察されることが多いです。DSM-5では症状発現が「12歳以前」と定義されており、5歳未満での発現は十分あり得ます。診断は就学後になることが多いですが、これは環境要因(学習環境への適応困難が顕在化)であり、症状発現時期ではありません。
b. 成人になると大部分自然治癒する。
❌ 誤り。ADHDは神経発達障害であり、自然治癒はしません。成人期まで症状が持続する者は30~50%であり、むしろ慢性経過することが多いです。症状が目立たなくなることはあっても(代償機制の習得など)、根治することはありません。
c. 不注意優勢型は男児に多い。
❌ 誤り。むしろ逆です。多動性-衝動性優勢型は男児に圧倒的に多いのに対し、不注意優勢型は性別差が小さく、女児でも同程度に見られます。女児は衝動的行動が目立たないため、診断遅延しやすいという臨床的課題があります。
d. 自尊感情の低下がみられる。
✅ 正しい。ADHDのある者は、学業成績不良・対人関係の困難・親や教師からの叱責を経験しやすく、その結果として自尊感情の低下がみられます。これは二次的な心理社会的問題として重要な合併症状です。
e. 行為障害を合併しやすい。
✅ 正しい。ADHDのある者の30~50%が行為障害を併存します。衝動性制御の困難が問題行動につながり、社会的ルール違反へと発展するため、両者の合併は臨床的に頻繁に観察されます。
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【試験対策ポイント】
ADHD基本知識まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 診断基準 | DSM-5:症状発現12歳以前、複数場面での障害 |
| 症状発現時期 | 幼児期(3~4歳)から観察されることが多い |
| 型別特徴 | 多動性優勢型は男児に多い/不注意優勢型は性別差小 |
| 女児の特徴 | 内在化しやすく診断が遅れやすい |
| 成人予後 | 30~50%が成人期まで症状持続(自然治癒なし) |
| 合併症 | 行為障害(30~50%)・学習障害・不安障害 |
| 二次的問題 | 自尊感情低下・社会的孤立 |
重要な否定知識
- 「5歳以前は発症しない」→発症は幼児期から
- 「自然治癒する」→神経発達障害なので持続する
- 「不注意優勢は男児多い」→むしろ女児でも目立つ
男児に多いADHD型と女児で見落とされやすい特徴の区別が出題ポイント。