第16回 言語聴覚士国家試験 第69問
言語発達障害学第16回
3歳の発語がない言語発達遅滞児との関わりで適切でないのはどれか。
- 1.子供の動作、身振りを理解する。
- 2.文脈に沿ったことばかけをする。
- 3.共同注意を確かめる。
- 4.2語文を復唱させる。 ✓
- 5.絵本を読み聞かせる。
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — 2語文を復唱させる。
3歳で発語がない言語発達遅滞児に対して、2語文の復唱を強要することは発達段階に不適切です。この時点での児は、まず1語文獲得やコミュニケーション意図の芽生えを促すことが優先です。復唱練習は音韻体系が基盤化した後の段階で行うべきであり、発語がない児に複雑な構文を要求することは、言語学習へのモチベーション低下や学習拒否を招く危険性があります。
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【各選択肢の解説】
1. 子供の動作、身振りを理解する。
✅ 正しい。発語がない児の非言語コミュニケーション(ジェスチャー・視線・身振り)は言語理解と並行して発達する最初の意思表示手段です。療法士がこれを理解・応答することは、児の動機づけと後の音声言語獲得を促進します。
2. 文脈に沿ったことばかけをする。
✅ 正しい。児が実際に行っている活動や関心の対象に直結した語りかけ(例:積み木を積んでいるときに「積んだね」と言語入力)は、意味理解と語彙獲得の最も効果的な方法です。
3. 共同注意を確かめる。
✅ 正しい。共同注意(大人と児が同じ対象に視線を共有する能力)は18~24ヶ月から発達する、言語発達の前提条件です。発語がない児でも共同注意の有無を確認することで、認知的基盤と今後の言語支援の可能性を評価できます。
4. 2語文を復唱させる。
❌ 誤り。発語がない3歳児は、1語文獲得の段階にも達していない可能性が高く、2語文復唱は発達段階を大きく超えた要求です。理解語彙や音韻基盤の形成を無視して構文習得を強要することは、児の挫折感につながり、言語学習への動機づけを阻害します。
5. 絵本を読み聞かせる。
✅ 正しい。図書を用いた言語入力は、視覚的文脈の提供と同時に、語彙拡大と物語理解を促します。発語がない児でも聴覚・視覚的刺激の組み合わせにより、受容言語の発達を支援できる有効な方法です。
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【試験対策ポイント】
発語がない言語発達遅滞児への支援の段階性
| 段階 | 優先される支援内容 | 適切性 |
|---|---|---|
| 前言語期(発語0) | 非言語コミュニケーション理解、共同注意育成、語彙入力 | ○ |
| 1語文段階 | 意思表示強化、文脈的やりとり、音韻基盤形成 | ○ |
| 2語文段階 | 簡単な構文模倣、語彙の組み合わせ練習 | 段階的に導入 |
| 3語以上 | 復唱・読み上げ練習、文法指導 | △(基盤後) |
重要な否定知識:
- 復唱練習は「音韻体系が確立した後」に有効(前の段階では逆効果)
- 発語がない児に複雑な構造の言語を強要することは支援ではなく負荷である
- 共同注意の有無は認知発達と言語予後を左右する重要な指標
キーワード:
- 発達段階に適合した支援(段階的接近)
- 非言語コミュニケーションの尊重
- 文脈依存的な語りかけ
- 共同注意の確認と育成