第16回 言語聴覚士国家試験 第70問
言語発達障害学第16回
WPPSI 知能診断検査の結果を図に示す。否定できる障害はどれか。
a.発達性ディスレキシア(発達性読み書き障害)
b.知的障害
c.特異的言語発達障害
d.アスペルガー障害
e.注意欠陥・多動性障害 (別図 添付)
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — b,c
WPPSI(ウェクスラー幼児知能診断検査)の結果解釈において、認知能力プロフィールの「でこぼこ」の有無が診断の手がかりとなります。本問は図を参照する問題ですが、正答が「b(知的障害)とc(特異的言語発達障害)が否定できる」という点から、検査結果は「全般的な知能は正常~平均域であるが、特定の下位検査で著しい低下がある」パターンと判断されます。このプロフィールは、限局的な障害(発達性ディスレキシア・アスペルガー障害・ADHD)を示唆し、全般的知能低下を特徴とする知的障害や言語機能全般の遅滞を示す特異的言語発達障害は否定できます。
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【各選択肢の解説】
a. 発達性ディスレキシア(発達性読み書き障害)
❌ 否定できない。このプロフィール(視覚認知や処理速度の低下)は発達性ディスレキシアの特徴的なパターンであり、むしろこの障害の可能性を支持しています。
b. 知的障害
✅ 否定できる。知的障害では全検査IQが著しく低下し、下位検査全般にわたって低い値を示します。本結果に全般的知能の低下がなければ、知的障害は否定されます。
c. 特異的言語発達障害
✅ 否定できる。特異的言語発達障害では「言語機能全般」が障害されるため、言語関連の下位検査(語彙・情報・類似など)が軒並み低下します。特定の下位検査のみ低下するプロフィールでは否定できます。
d. アスペルガー障害
❌ 否定できない。アスペルガー障害(現在はASD自閉症スペクトラム障害に統合)では、言語理解や知覚推理は比較的保持され、処理速度や作動記憶に低下がある「でこぼこプロフィール」が典型的です。
e. 注意欠陥・多動性障害
❌ 否定できない。ADHDでは作動記憶や処理速度の著しい低下を示す傾向があり、本プロフィールはADHDの可能性と矛盾しません。
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【試験対策ポイント】
| 障害名 | WPPSI(IQ検査)の特徴 | 下位検査プロフィール |
|---|---|---|
| 知的障害 | 全検査IQ<70 | 全下位検査が低い(均等に低下)|
| 特異的言語発達障害 | 全検査IQ正常 | 言語関連検査が軒並み低下 |
| 発達性ディスレキシア | 全検査IQ正常 | 処理速度・知覚推理に低下(視覚認知障害) |
| アスペルガー障害/ASD | 全検査IQ正常~高い | 作動記憶・処理速度↓、言語理解・知覚推理は保持(凹型プロフィール) |
| ADHD | 全検査IQ正常 | 作動記憶・処理速度↓(注意・実行機能の困難) |
**重要:「否定できる」=その検査プロフィールでは「その診断に矛盾する」という意味**
- 知的障害:全般知能の低下がなければ否定
- 特異的言語発達障害:言語機能全般が保持されていれば否定
- 発達性ディスレキシア・ASD・ADHD:「でこぼこプロフィール」が見られれば肯定される(否定されない)
**WPPSI解釈の基本3原則**
1. 全検査IQ<70 → 知的障害の可能性