第16回 言語聴覚士国家試験 第71問
言語発達障害学第16回
初期の理解語彙の指導で考慮する必要がないのはどれか。
- 1.構音可能な音を含む語 ✓
- 2.使用頻度が高い語
- 3.味や関心がある語
- 4.定形発達児の獲得順序が早い語
- 5.対応する身振りがある語
正答:1番
解説
■ 正答:1番 — 構音可能な音を含む語
初期の理解語彙指導では、構音能力は「理解」段階では要求されないため考慮不要です。理解語彙は聴覚的に語を認識し意味を理解する能力であり、実際に音を産出する必要がないからです。むしろ使用頻度・興味関心・発達段階・身振りといった受容的な要因が重要です。
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【各選択肢の解説】
1. 構音可能な音を含む語
❌ 誤り。理解語彙の獲得には構音能力は不要です。理解(受容)と表出(産出)は独立した過程であり、子どもは表出できない音の語でも理解できます。理解語彙指導で構音条件を重視すると、対象となる語を不必要に制限してしまいます。
2. 使用頻度が高い語
✅ 正しい。日常的によく聞く語(「ママ」「わんわん」「バナナ」など)は、繰り返し接触する機会が多く、理解語彙として定着しやすいため重要な考慮要因です。
3. 味や関心がある語
✅ 正しい。子どもが興味・関心を持つ領域の語(好きなキャラクター名、好物など)は、注意が向きやすく学習効率が高まるため考慮が必要です。
4. 定形発達児の獲得順序が早い語
✅ 正しい。典型発達における獲得順序(身近な物→動作→属性など)に沿うことで、言語発達の自然な段階を踏襲でき、指導効果が高まります。
5. 対応する身振りがある語
✅ 正しい。身振り・ジェスチャーを伴う語(「さようなら」+手振り、「いただきます」+おじぎなど)は、マルチモーダルな情報提供により理解が促進されます。
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【試験対策ポイント】
理解語彙と表出語彙の区別:
| 項目 | 理解語彙 | 表出語彙 |
|---|---|---|
| 定義 | 聞いた語の意味が理解できる | 自分で語を音として発話できる |
| 必要条件 | 聴覚的認識・意味理解 | 構音能力・音韻体系 |
| 発達段階 | より早期に発達 | より後発的に発達 |
| 推定量 | 表出の3~5倍大きい | 実測可能(語数×2~5倍) |
| 指導時の構音条件 | 不要(考慮してはいけない) | 必須(音産出できる語を選択) |
初期語彙選定の実践的優先順位:
1位:使用頻度+興味関心(動機づけ最大化)
2位:発達順序(年齢段階に適した語)
3位:身振り等のマルチモーダル情報
※構音は後発的課題のため考慮外
誤答者の傾向:「構音可能な語を選ぶべき」と表出語彙の視点で考えてしまうケース。理解指導と表出指導の原理の根本的違いを押さえることが正答への鍵となります。