STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第16回 言語聴覚士国家試験 第73問

言語発達障害学第16回
4歳で発語がない重度の知的障害児。コミュニケーション支援で適切でないのはどれか
  1. 1.身振り
  2. 2.実 物
  3. 3.マークやロゴ
  4. 4.五十音ひらがな文字表 ✓
  5. 5.VOCA

正答:4番

解説
■ 正答:4番 — 五十音ひらがな文字表 4歳で発語のない重度知的障害児には、抽象的な文字記号は理解困難です。コミュニケーション支援は「具体性→抽象性」の段階を踏む必要があり、文字を読む能力を前提とする五十音表は、このステージでは適切ではありません。一方、身振り・実物・マーク・VOCAは具体的で、即座にコミュニケーション機能を果たすため有効です。 --- 【各選択肢の解説】 1. 身振り ✅ 正しい。最も具体的で自然なコミュニケーション手段です。意思伝達に直結し、重度知的障害児にも理解しやすく、初期段階で積極的に活用されます。 2. 実物 ✅ 正しい。実際のものを示すことで、抽象化を必要とせず意味が直結します。欲しい物・嫌なものなど、実物を提示することで意思確認や選択支援が可能です。 3. マークやロゴ ✅ 正しい。信号機、トイレマークなど、具体的で視覚的に理解しやすい記号です。文字より学習が容易で、重度知的障害児の環境理解を助けます。 4. 五十音ひらがな文字表 ❌ 誤り。音韻体系の理解と文字の読み能力が必要で、4歳で発語のない重度知的障害児には抽象度が高すぎます。識字能力の前提が崩れており、コミュニケーション支援として即効性がありません。 5. VOCA(音声出力装置) ✅ 正しい。あらかじめ録音した音声やメッセージを出力する拡張代替コミュニケーション(AAC)の実践例です。重度知的障害児の意思伝達を代替え、社会的相互作用を促進します。 --- 【試験対策ポイント】 コミュニケーション支援階層(重度知的障害児) 段階 | 手段 | 特徴 ---|---|--- 第1段階(最も具体的) | 身振り・実物 | 抽象化不要。直感的理解 第2段階 | マーク・ロゴ・絵カード | 具体的記号。読み書き不要 第3段階 | 指差しボード・写真 | 選択肢から指示。理解要求低い 第4段階 | VOCA・音声装置 | 代替音声機能。学習で操作習得 第5段階(最も抽象的) | 文字表・読み書き | 識字能力必須。このケースでは不適切 重度知的障害とコミュニケーション支援の原則 - 発語がない場合:「聞く能力」≠「話す能力」 - 理解語彙は表出語彙より発達している可能性あり - 文字学習を前提としない、「見て選ぶ」「指す」段階から開始 - 家族や支援者の「読み取り」能力も重要(意図を解釈する) 紛らわしい知識:VOCA vs 文字表 | 項目 | VOCA | 文字表 | |---|---|---| | 識字能力 | 不要 | 必須 | | 学習時間 | 短い | 長い | | 理解度要求 | 低い | 高い | | 重度知的障害での有効性 | 高い | 低い | 4歳・発語なし・重度知的障害のキー知識 - 年齢より「発達段階」を優先 - 健常児の1歳前後の理解水準から開始を想定 - 「読む」能力の獲得は後期課題(学童期以降が現実的) - AAC導入は「話す努力」の放棄ではなく、「コミュニケーション量の増加」を
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