STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第16回 言語聴覚士国家試験 第72問

言語発達障害学第16回
特異的言語発達障害児の指導内容として適切なのはどれか。 a.音韻認識 b.文法 c.ソーシャルスキル d.視覚性短期記憶 e.聴覚性ワーキングメモリー 1. a,b,c 2. a,b,e 3. a,d,e 4. b,c,d 5. c,d,e

正答:2番

解説
■ 正答:2番 — a,b,e(音韻認識、文法、聴覚性ワーキングメモリー) 特異的言語発達障害(Specific Language Impairment: SLI)の指導は、言語の根底にある認知・神経心理学的な「弱点」を補強することに焦点を当てます。SLIの核となる障害は聴覚的言語処理能力の低下であり、特に聴覚性ワーキングメモリー(短期記銘や時系列処理)の困難さが、文法習得や音韻認識の遅滞につながります。したがって、これらの領域への直接的介入が指導の中心となります。 --- 【各選択肢の解説】 a. 音韻認識 ✅ 適切。SLI児は音韻認識能力(単語の最初の音を抽出する、韻を踏む等)が遅延していることが多く、これを促進する訓練は読み書き習得への基礎となるため指導対象となります。 b. 文法 ✅ 適切。SLI児の中核的な障害は文法の習得困難(特に動詞の時制、複数形、助詞の使用)にあり、文法的知識と使用を促進することは言語発達障害児への標準的指導内容です。 c. ソーシャルスキル ❌ 誤り。ソーシャルスキルは言語障害の二次的結果として困難になることもありますが、SLI自体はソーシャル相互作用の能力障害ではなく、言語形式体系の習得困難です。指導の優先順位は低く、専門的指導対象ではありません。自閉スペクトラム症の特性ではありません。 d. 視覚性短期記憶 ❌ 誤り。SLI児の認知的な弱点は聴覚系の処理能力(聴覚性短期記憶・ワーキングメモリー)にあります。視覚性記憶は通常保持されているため、SLI児の指導対象ではありません。 e. 聴覚性ワーキングメモリー ✅ 適切。SLI児の根底的な認知特性として聴覚性ワーキングメモリーの低下が報告されており、聞いた言葉の時系列処理や短期保持を強化する訓練は理論的根拠が高く、指導の中心的課題です。 --- 【試験対策ポイント】 SLI児の指導における「適切」と「不適切」の区別 | 指導内容 | 適否 | 根拠 | |---|---|---| | 音韻認識 | ✅ | 音韻処理困難の改善が識字学習に寄与 | | 文法 | ✅ | 核的障害領域(動詞時制・助詞等) | | 聴覚性WM | ✅ | SLIの認知基盤への直接的介入 | | ソーシャルスキル | ❌ | 言語形式障害であり対人能力障害ではない | | 視覚性短期記憶 | ❌ | SLI児は視覚系記憶は保持されている | キーワード:「聴覚処理の弱点」「文法形式習得」「音韻認識」がSLI指導の3本柱
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