第17回 言語聴覚士国家試験 第121問
聴覚系第17回
正しいのはどれか。
- 1.耳小骨筋反射が反対側刺激で検出されるのは交叉聴取による。
- 2.耳小骨筋反射は刺激側の聴力を反映する。 ✓
- 3.聴性脳幹反応(ABR)は音刺激後1ms以内に認められる誘発電位である。
- 4.前庭誘発筋電位(VEMP) は外有毛細胞の機能検査として用いられる。
- 5.方向感検査は一側性難聴の診断に用いられる。
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — 耳小骨筋反射は刺激側の聴力を反映する。
耳小骨筋反射(アブミ骨筋反射)は刺激側の中耳機能および聴力を直接反映します。刺激側への音刺激により、同側の三叉神経(V)→顔面神経(VII)→アブミ骨筋の反射弧が作動するため、刺激側の聴覚系機能が検査対象となります。反対側での反応検出は交叉聴取ではなく、反射弧の解剖学的構成による正常な両側性応答です。
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【各選択肢の解説】
1. 耳小骨筋反射が反対側刺激で検出されるのは交叉聴取による。
❌ 誤り。耳小骨筋反射は両側対称な中枢経路を持つため、一側刺激で両側に反応が生じます。この両側性応答は交叉聴取ではなく、反射弧そのものの解剖学的特性です。交叉聴取は「気導聴力検査で低周波音が反対側に漏れる現象」であり、別の概念です。
2. 耳小骨筋反射は刺激側の聴力を反映する。
✅ 正しい。刺激側への音入力が求心路(三叉神経V)となるため、刺激側の中耳・内耳機能が直接反映されます。一側難聴がある場合、難聴側への刺激では反射閾値が上昇または消失します。
3. 聴性脳幹反応(ABR)は音刺激後1ms以内に認められる誘発電位である。
❌ 誤り。ABRは音刺激後「0~10ms」(正確には0~15ms)の間に認められます。Ⅰ波(1~2ms)から始まり、Ⅴ波(5~6ms)が最大の振幅を示します。「1ms以内」では基本的にバックグラウンド雑音のみであり、ABRは検出されません。
4. 前庭誘発筋電位(VEMP)は外有毛細胞の機能検査として用いられる。
❌ 誤り。VEMPは「前庭系(卵形嚢)の機能検査」であり、内耳の聴覚部分の検査ではありません。cVEMP(頸部VEMP)は卵形嚢→前庭神経→三叉神経→頸部筋の反射弧を検査し、内耳液代謝異常(メニエール病など)の診断に用いられます。
5. 方向感検査は一側性難聴の診断に用いられる。
❌ 誤り。方向感検査は「左右の聴力がほぼ等しい場合の音源定位」を検査するスクリーニングツールです。一側難聴の診断には「気導・骨導聴力検査」「語音明瞭度検査」が標準的です。方向感検査の異常は中枢性聴覚障害(両側聴覚野損傷など)を示唆します。
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【試験対策ポイント】
耳小骨筋反射の解剖学的経路と機能検査の分類
| 検査項目 | 主な対象機能 | 反射弧 | 臨床的意義 |
|---|---|---|---|
| 耳小骨筋反射 | 刺激側の中耳・聴力 | 三叉神経V(求心)→顔面神経VII | 中耳炎・アブミ骨硬化症の診断 |
| ABR | 脳幹の聴覚伝導路 | 蝸牛→前庭蝸牛神経→脳幹 | 難聴の部位診断・新生児スクリーニング |
| VEMP | 前庭系(卵形嚢)機能 | 卵形嚢→前