第17回 言語聴覚士国家試験 第122問
臨床神経学第17回
びまん性軸索損傷について誤っているのはどれか。
- 1.動脈閉塞を伴う。 ✓
- 2.脳梁に生じやすい。
- 3.頭部外傷で生じる。
- 4.神経軸索が断裂している。
- 5.発症時に意識障害を伴う。
正答:1番
解説
■ 正答:1番 — 動脈閉塞を伴う。
びまん性軸索損傷(diffuse axonal injury: DAI)は、頭部外傷時の加速・減速・回転外力により、脳全体の神経軸索が広範囲に損傷される病態です。特に脳梁や脳幹部で軸索の断裂が生じます。「動脈閉塞を伴う」というのは、DAIの本質的な特徴ではなく、むしろ血管損傷や血腫形成による二次的な脳損傷を指すもので、DAIの定義には含まれません。
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【各選択肢の解説】
1. 動脈閉塞を伴う。
❌ 誤り。DAIの本質は「神経軸索の損傷」であり、動脈閉塞は伴いません。動脈閉塞はむしろ外傷性脳損傷の別のメカニズム(血管損傷・血栓形成など)です。
2. 脳梁に生じやすい。
✅ 正しい。DAIは脳梁(特に体部)、脳幹、脳室周囲白質など、加速・減速外力の影響を最も受けやすい部位に好発します。MRIで脳梁損傷が確認されることはDAIの重要な診断指標です。
3. 頭部外傷で生じる。
✅ 正しい。DAIは重度頭部外傷(交通事故、落下など)の代表的な脳損傷であり、加速・減速・回転メカニズムにより発症します。
4. 神経軸索が断裂している。
✅ 正しい。DAIの定義そのものが「神経軸索の断裂」です。顕微鏡的スケールでの広範な軸索断裂が脳全体に分布しています。
5. 発症時に意識障害を伴う。
✅ 正しい。DAIは脳幹網様体にも損傷が及ぶことが多いため、頭部外傷直後から意識障害(昏睡)を伴い、遷延性意識障害に至ることもあります。
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【試験対策ポイント】
頭部外傷による脳損傷の分類と特徴:
| 病態 | 動脈関与 | 好発部位 | 意識障害 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| びまん性軸索損傷(DAI) | なし | 脳梁・脳幹 | あり(直後) | 軸索断裂が広範 |
| 急性硬膜外血腫 | あり | 側頭部 | なし→あり(遅延) | 動脈出血(中硬膜動脈) |
| 急性硬膜下血腫 | あり | 脳表面 | あり | 静脈損傷(多くは) |
| 脳挫傷 | あり | 前頭・側頭葉先端 | あり | 脳実質の損傷 |
キーポイント:DAI=「軸索損傷」=血管閉塞ではない。血管閉塞を伴う外傷は「血腫」や「脳挫傷」であることを区別すること。