第17回 言語聴覚士国家試験 第142問
言語学第17回
言語学的にみて同音異義語はどれか。
- 1.読 む ― 詠 む
- 2.剥げる ― 禿げる(はげる)
- 3.取 る ― 採 る
- 4.護 る ― 守 る
- 5.群れる ― 蒸れる ✓
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — 群れる ― 蒸れる
同音異義語とは「音韻体系上で同じ音で実現される異なる意味・語幹の語」です。「群れる(集まる)」と「蒸れる(湿度で不快になる)」は音韻的に完全に同一(むれる)でありながら、意味が全く異なるため、同音異義語の典型例です。
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【各選択肢の解説】
1. 読む ― 詠む
❌ 誤り。「読む(よむ)」と「詠む(えいむ)」は音韻が異なります。前者の音は「よむ」、後者は「えいむ」であり、同音ではなく音韻対立があります。
2. 剥げる ― 禿げる(はげる)
❌ 誤り。「剥げる(はげる・層が剥離する)」と「禿げる(はげる・毛が抜ける)」は確かに音では同じですが、言語学的には同じ語根「はげ」の異なる文字表記です。つまり字義的には異なりますが、言語学的には同一語根に基づく派生語であり、純粋な同音異義語(独立した語幹の衝突)ではありません。
3. 取る ― 採る
❌ 誤り。「取る(とる・一般的な把握)」と「採る(とる・選んで採集する)」は音韻は同じですが、これらは同一の語根「とる」に対する異字同訓です。言語学的には同一語幹の文字バリエーションであり、同音異義語ではなく「同訓異字」に分類されます。
4. 護る ― 守る
❌ 誤り。「護る(まもる)」と「守る(まもる)」は音韻は同じですが、これも同一語幹「まもる」の異字表記です。選択肢3と同様に「同訓異字」であり、独立した異なる語幹が衝突する同音異義語ではありません。
5. 群れる ― 蒸れる
✅ 正しい。「群れる(むれる:複数が集まる)」と「蒸れる(むれる:湿気で不快になる)」は音韻体系上で完全に同一(むれる)ですが、意味・語源・語幹が全く異なります。言語学的には「独立した異なる語幹」の衝突であり、同音異義語の定義に完全に合致します。
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【試験対策ポイント】
同音異義語 vs 同訓異字の区別(重要)
| 分類 | 定義 | 具体例 | 選択肢 |
|---|---|---|---|
| 同音異義語 | 音は同じ・意味が異なる・語幹が別 | 群れる/蒸れる、橋/箸/端 | 5番 |
| 同訓異字 | 音は同じ・意味は関連・語幹は共通 | 取る/採る、読む(音読)は別語 | 2,3,4番 |
| 異音同義 | 音が異なる・意味は同じ | 読む/詠む(異義) | 1番 |
言語学的「同音異義語」の条件
- 音韻が完全に同一
- 意味が全く異なる(関連性がない)
- 語幹・語源が独立している
- 単なる文字表記の違いではない
選択肢2,3,4が引っかかりやすい理由
- 確かに音は同じだが、同じ語根の「異字表記」に過ぎない
- 言語学では「語幹の独立性」が同音異義語の必須条件
- 日本語の特性上、同訓異字が多く紛らわしい