第17回 言語聴覚士国家試験 第200問
小児聴覚障害第17回
盲ろう乳幼児の行動発達と療育について適切なのはどれか。
a.指さしは遅れずに発現する。
b.探索行動が少ない。
c.児とコミュニケーションを開始する前に軽く触る。
d.児を移動させる場合はサインを用いない。
e.療育者が場を離れるときは、できる限り静かに離れる。
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — b,c
盲ろう乳幼児の発達と療育は、視覚と聴覚の両方の制限により、触覚・固有受容覚を中心とした独特な発達過程と支援を必要とします。正答のbとcは、盲ろう児の発達特性と療育の実際的原則を正しく述べています。
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【各選択肢の解説】
a. 指さしは遅れずに発現する。
❌ 誤り。盲ろう児では視覚による相手の反応の確認、聴覚による音声的フィードバックが得られないため、指さし(特に共同注視を伴う三項関係の成立)は健聴児と比べて著しく遅延します。通常、視覚聴覚の両感覚が機能してこそ、指さしによる他者との相互作用が成立します。
b. 探索行動が少ない。
✅ 正しい。盲ろう児は視覚的な遠距離情報と聴覚的な導き刺激の両者が欠如しているため、主動的に環境を探索する動機づけや手がかりが極めて限定されます。結果として自発的な探索行動は健聴視児と比べて著しく減少し、受動的な状態に陥りやすくなります。これは療育における重要な課題です。
c. 児とコミュニケーションを開始する前に軽く触る。
✅ 正しい。盲ろう児にとって触覚は最も信頼できる感覚です。突然の接触や声かけは児に不安や警戒心を与えます。療育開始時や相互作用の開始前に、軽く、予測可能な方法で触覚的に児に「これから何かが起きる」ことを予告することは、安心感形成と相互理解の基盤となります。
d. 児を移動させる場合はサインを用いない。
❌ 誤り。むしろ逆で、盲ろう児を移動させる際は、必ずサイン(手話や触手話、身体を通じた合図など)を用いて、移動の方向・理由・目的地を予め伝えることが必須です。予告なしの移動は児に恐怖心と不信感を生じさせます。
e. 療育者が場を離れるときは、できる限り静かに離れる。
❌ 誤り。むしろ逆で、療育者が場から退出する際は、児に対して明確なサイン(身体接触や触手話など)で「今から去る」ことを伝えることが重要です。無断で静かに離れることは、盲ろう児に遺棄感や不安感を与え、信頼関係を損なわせます。予測可能性の確保が療育の原則です。
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【試験対策ポイント】
盲ろう乳幼児の特性と療育原則
| 項目 | 特性・原則 |
|---|---|
| **発達の遅延** | 指さし、探索行動、社会的相互作用が著しく遅延 |
| **コミュニケーション開始** | 事前に軽く触る(予告)→安心感形成が必須 |
| **移動時の対応** | サイン使用が必須(予告なし移動は恐怖誘発) |
| **離別時の対応** | 明確なサイン→予測可能性確保(静かに去るはNG) |
| **療育の基本原則** | 予測可能性・準備・信頼関係構築 |
キーワード:
- 触覚を最高度に活用(唯一の遠距離感覚的役割を果たす)
- 予測可能性の確保(盲ろう児にとって最重要な心理的基盤)
- 受動的状態からの脱却(療育者による積極的な刺激提供が必須)