第17回 言語聴覚士国家試験 第25問
認知心理学第17回
奥行知覚に関与しないのはどれか。
- 1.閉合 ✓
- 2.陰影
- 3.両眼視差
- 4.相対性位置
- 5.重なり
正答:1番
解説
■ 正答:1番 — 閉合
奥行知覚は物体の立体感・距離感を認知するプロセスですが、「閉合」(closure)は欠けた図形を補完して完全な形として知覚する現象であり、奥行きの感覚とは無関係です。閉合はゲシュタルト心理学の知覚組織化原理の一つであり、形態知覚に関与します。一方、他の4つの選択肢はすべて奥行知覚の重要な手がかり(cue)です。
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【各選択肢の解説】
1. 閉合
❌ 誤り。閉合は欠けた図形の穴を補填して完全な形に見える現象で、形態知覚(図形と背景の分離、ゲシュタルト原理)に関与します。奥行知覚の手がかりではありません。
2. 陰影
✅ 正しい。光と影の濃淡パターン(シェーディング)は立体感を強く感じさせる奥行知覚の手がかりです。例えば球体の描画では陰影が立体感を生み出します。
3. 両眼視差
✅ 正しい。両眼の網膜像の微妙なずれから奥行きを知覚する生物学的機制です。奥行知覚において最も強力で確実な手がかりの一つです。
4. 相対性位置
✅ 正しい。視野内の物体の相対的配置(例:上にあるものは遠い、下にあるものは近い)が奥行知覚の線索として機能します。透視図法の基本原理でもあります。
5. 重なり
✅ 正しい。手前の物体が奥の物体を遮蔽する重なりは、強力な奥行手がかりです。単色の図形でも重なりがあれば立体感が生じます。
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【試験対策ポイント】
奥行知覚の主要な手がかり(キュー)
| 手がかりの種類 | 説明 | 生理的基盤 |
|---|---|---|
| **両眼視差** | 両眼網膜像のずれ | 生物学的(両眼視) |
| **単眼性手がかり** | 1眼でも知覚可能 | - |
| └ 重なり | 手前物体が奥物体を遮蔽 | 形態知覚 |
| └ 相対大きさ | 同じサイズでも遠いと小さく見える | 恒常性 |
| └ 陰影・テクスチャ | 濃淡・表面パターン | 光学的情報 |
| └ 相対位置 | 視野内の相対配置 | 透視図法 |
| └ 親運動 | 運動視差(移動時の視野変化) | 運動知覚 |
**ゲシュタルト知覚組織化原理(奥行知覚と無関係)**
- 閉合:図の完成補完
- 近接性:近い要素をまとめる
- 類似性:似た要素をまとめる
- 連続性:連続した流れを知覚
- 図地分離:図と背景の分離
**出題パターン**
紛らわしいのは「閉合」と「重なり」の区別。閉合は「欠けを埋める」、重なりは「手前奥の関係」として分けられます。