第17回 言語聴覚士国家試験 第42問
聴覚心理学第17回
聴覚フィルタに関して誤っているのはどれか。
a.. 生理学的基盤としては内耳の基底板が関与する。
b.. 帯域幅は中心周波数が低い方が高い方より広い。
c.. 内耳性聴覚障害があると帯域幅は健聴者より狭くなる。
d.. 周波数応答特性の対称性は入力レベルに応じて変化する。
e.. 周波数応答特性は中心周波数をピークとしてなだらかに減衰する。
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — b,c が誤っている
聴覚フィルタ(auditory filter)は内耳での周波数選別機能を心理学的に測定した概念です。bは帯域幅と中心周波数の関係が逆であり、cは内耳性聴覚障害時の帯域幅の変化方向が誤っています。
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【各選択肢の解説】
a. 生理学的基盤としては内耳の基底板が関与する。
✅ 正しい。聴覚フィルタの物理的基盤はコルチ器を支持する基底板の周波数選別機能(周波数分析)であり、特定の周波数に対する最大感度を決定しています。
b. 帯域幅は中心周波数が低い方が高い方より広い。
❌ 誤り。逆です。聴覚フィルタの帯域幅(Q値の逆数に相当)は中心周波数が高い方が広くなります。低周波数では帯域幅が狭く精密な周波数弁別が可能で、高周波数では帯域幅が広く周波数弁別精度が低下します。
c. 内耳性聴覚障害があると帯域幅は健聴者より狭くなる。
❌ 誤り。逆です。内耳性聴覚障害(特に感音難聴)では聴覚フィルタの帯域幅は健聴者より広くなります。このため周波数選別機能が低下し、マスキング効果が増大してしまいます。
d. 周波数応答特性の対称性は入力レベルに応じて変化する。
✅ 正しい。聴覚フィルタの周波数応答特性は入力レベル(刺激音圧)に応じてその形状が変化します。特に高入力レベルで非線形性が顕著になります。
e. 周波数応答特性は中心周波数をピークとしてなだらかに減衰する。
✅ 正しい。聴覚フィルタの周波数応答曲線は中心周波数で最大感度を示し、両側に向けてなだらかに減衰する形状を示します。
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【試験対策ポイント】
聴覚フィルタの帯域幅と中心周波数の関係(頻出)
| 周波数帯域 | 帯域幅 | 周波数弁別精度 | 臨床的意義 |
|---|---|---|---|
| 低周波数(200Hz以下) | 狭い | 高い | 精密な弁別可能 |
| 高周波数(4000Hz以上) | 広い | 低い | 周波数分解能低下 |
聴覚フィルタの関連概念
- 周波数選別:基底板の振動パターンに基づく
- 臨界帯域:フィルタ帯域幅とほぼ相当
- マスキング:帯域幅内のマスカー音で閾値上昇
- 感音難聴での変化:帯域幅「拡大」→マスキング増大→語音弁別低下
頻出の誤り選択肢パターン
- 「低周波数で帯域幅広い」(逆)
- 「感音難聴で帯域幅狭くなる」(逆)
- 「聴覚フィルタは周波数で不変」(実は入力レベルで変化)