第17回 言語聴覚士国家試験 第43問
言語学第17回
共通語(東京方言)のアクセントからみて1語になっていないのはどれか。
- 1.新基準
- 2.無制限
- 3.前総理 ✓
- 4.最終便
- 5.食べ放題
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — 前総理
共通語のアクセントは各単語の単位を反映します。「前総理」は「前の総理」という修飾関係を表すため、2語の合成ではなく「形容詞的な修飾要素+名詞」の構造が対比されます。アクセント核の配置(抑揚の位置)を見ると、他の選択肢は各要素が融合して1語化していますが、「前総理」はアクセント核が別々に保たれており、複合語としての一語化が不完全です。
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【各選択肢の解説】
1. 新基準
✅ 正しい。「新しい基準」という意味の複合語ですが、共通語では「あたらしきじゅん」のように2要素が一体となったアクセント核を持ち、1語の複合名詞として確立しています。
2. 無制限
✅ 正しい。「制限がない」を意味する複合語で、「む→せい→げん」とアクセント核が1つに統合された1語です。共通語で完全に語彙化しています。
3. 前総理
❌ 誤り。「前」は修飾要素として機能し、「総理」の前に置かれています。このような場合、アクセント核が「ぜん」と「そう→り」の間で分離しやすく、修飾要素が名詞に完全に融合していない準複合形です。修飾的な結合が強く、真の複合語化が進んでいません。
4. 最終便
✅ 正しい。「最後の便」を意味する複合語で、「さい→しゅう→び→ん」とアクセント核が統合されています。共通語で複合名詞として完全に1語化しています。
5. 食べ放題
✅ 正しい。「食べ放題」は動詞と「放題」がアクセント的に融合し、「たべ→ほう→だい」として1語のアクセント体系を持っています。複合語として確立した1語です。
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【試験対策ポイント】
複合語の1語化を判定する基準(共通語アクセント)
| 判定項目 | 説明 |
|---|---|
| アクセント核の統合 | 複数要素が1つのアクセント核を持つ→1語化進行 |
| 修飾関係の強さ | 「Aな~」「Aの~」という修飾が強い→2語性が残る |
| 語彙化の程度 | 日常的な複合語として定着→1語化 |
| 形態の融合 | 要素間の音変化や形態変化がない→分析可能=複合性残存 |
重要知識:
- 「前+X」型は修飾的複合で語彙化が緩い傾向
- 「X+放題」「X+基準」のような融合型は1語化が完全
- ST国試では音韻学的な1語性(アクセント核の統一)が問われる