STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第17回 言語聴覚士国家試験 第46問

言語学第17回
肯定形とも否定形とも共起するのはどれか。 a.. 誰でも b.. 何も c.. みんな d.. だけ e.. しか 1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e

正答:4番

解説
■ 正答:4番 — c,d(みんな、だけ) この問題は、肯定文と否定文の両方で使用できる修飾語(量化表現)を識別する言語学の基礎問題です。「共起」とは、ある語が複数の異なる文脈で併存できることを意味します。みんなとだけは肯定・否定の両方の文脈で自然に用いられるのに対し、誰でも・何も・しかは特定の極性(肯定または否定)にのみ結びつく傾向があります。 --- 【各選択肢の解説】 a. 誰でも ❌ 誤り。「誰でも」は肯定形に特化した表現です。「誰でも来られる」は自然ですが、「誰でも来られない」は不自然で、否定形での使用は制限されます。否定を表現する場合は「誰も~ない」の形式を用います。 b. 何も ❌ 誤り。「何も」は否定形に極めて強く結びついた表現です。「何も食べない」は自然ですが、「何も食べる」という肯定形は極めて不自然です。「何も」は本質的に負極性アイテム(Negative Polarity Item)です。 c. みんな ✅ 正しい。「みんな来た」(肯定)と「みんな来なかった」(否定)のいずれも自然で文法的に正当です。「みんな」は極性に中立的な全称量化子として、肯定・否定の両文脈で共起可能です。 d. だけ ✅ 正しい。「私だけ来た」(肯定)と「私だけ来なかった」(否定)のいずれも自然で一般的な表現です。「だけ」は限定焦点化マーカーとして極性に依存せず、両方の文脈で使用できます。 e. しか ❌ 誤り。「しか」は「~しかない」の形式で強く否定を要求する否定極性アイテムです。「私しか来ない」(実質的に「私だけ来る」を否定的ニュアンスで表現)は否定の要求を示し、肯定形単独での使用はできません。 --- 【試験対策ポイント】 極性アイテムの分類 | 表現 | 肯定形 | 否定形 | 分類 | |---|---|---|---| | みんな | ✅ 自然 | ✅ 自然 | 極性中立 | | だけ | ✅ 自然 | ✅ 自然 | 極性中立 | | 誰でも | ✅ 自然 | ❌ 不自然 | 正極性アイテム | | 何も | ❌ 不自然 | ✅ 自然 | 負極性アイテム | | しか | ❌ 単独不可 | ✅ 必須 | 負極性アイテム(必須) | 重要キーワード - **正極性アイテム**:肯定文に特化(例:誰でも) - **負極性アイテム**:否定文に特化(例:何も、しか) - **極性中立**:肯定・否定の両方で自然に共起(例:みんな、だけ) - 「しか」は「~しかない」で必須の否定を伴うため、単独での肯定形使用は不可
関連

▶ 第17回 全問一覧

▶ 言語学 の過去問一覧