第17回 言語聴覚士国家試験 第70問
言語発達障害学第17回
発達性ディスレキシア(発達性読み書き障害)の児が不得意な課題はどれか。
a.文の復唱
b.冗談の理解
c.しりとり
d.図形の模写
e.名称の瞬時想起
1. a,b,c 2. a,b,e 3. a,d,e 4. b,c,d 5. c,d,e
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — c,d,e
発達性ディスレキシア(発達性読み書き障害)は、読む・書く機能に限定した学習障害です。音韻処理機能の障害が本質的特徴であり、複数の異なる神経機序に基づく障害が含まれます。選択肢c(しりとり)・d(図形の模写)・e(名称の瞬時想起)は、音韻処理、視覚-運動協調、迅速な語彙検索のいずれかが関与するため、ディスレキシア児は困難を示しやすい課題です。
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【各選択肢の解説】
a. 文の復唱
✅ 正しい。文の復唱は聴覚的言語理解と短期記憶に依存する課題であり、ディスレキシア児でも比較的保持されています。読み書き障害の直接的な影響を受けません。
b. 冗談の理解
✅ 正しい。冗談の理解には語用論的推論が必要ですが、これは読み書き障害とは独立した高次言語機能です。ディスレキシア児の多くは冗談を理解できます。
c. しりとり
❌ 誤り(不得意な課題)。しりとりは言葉の最後の音を抽出し、新たな語を開始する課題であり、音韻操作能力が必須です。ディスレキシア児の音韻処理障害により、この課題は顕著に困難です。
d. 図形の模写
❌ 誤り(不得意な課題)。図形の模写は視覚-運動協調と空間認知を要する課題です。ディスレキシア児の一部(とくに視覚タイプ)は、視知覚的な処理困難によって模写に支障を来たします。
e. 名称の瞬時想起
❌ 誤り(不得意な課題)。対象物を見てすぐに名前を答える課題は、語彙へのすばやいアクセスと音韻符号化を要します。ディスレキシア児は音韻的表象への接続不全により、反応が遅延したり誤答したりします。
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【試験対策ポイント】
発達性ディスレキシアの特徴:
- 限定的:「読み書き」に限定した学習障害
- 音韻処理の本質的障害が中心
- 聴覚的言語理解・復唱・冗談理解は相対的に温存
- しりとり、名称瞬時想起で困難が顕著
ディスレキシア児が困難な課題の共通点:
| 課題 | 関連機能 | 機序 |
|---|---|---|
| しりとり | 音韻操作 | 音を分離・操作する能力不足 |
| 名称瞬時想起 | 音韻アクセス | 語彙への素早い接続困難 |
| 図形模写(一部) | 視覚-運動協調 | 視覚処理の質的異常(視覚型) |
よくある誤りの理由:
- ディスレキシアが「言語障害全般」と誤解される
- 冗談理解が読み書きと関連すると思い込む
- 図形模写は「言語外」だから大丈夫と考える(※実際には困難を示す児が多い)
キーワード:
- 音韻処理障害が中心病態
- 聴覚的言語機能は保持
- 音操作タスク(音韻意識)で顕著に困難