第25回 言語聴覚士国家試験 第72問
言語発達障害学第25回
小学3年生の男児。平仮名の特殊音節の読みが習得できない。指導として適切でないのはどれか。
- 1.視覚的な記号を用いる
- 2.動作と結び付けて覚える
- 3.単語の意味情報を活用する
- 4.口頭で分解練習を行う
- 5.フォニックスを用いて覚える ✓
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — フォニックスを用いて覚える
フォニックスは英語の音韻体系に基づいた指導法であり、日本語の平仮名習得には適用できません。日本語の特殊音節(小さい「ぁ、ぃ、ぅ、ぇ、ぉ」を含む音)は、英語の音韻規則とは全く異なる体系であるため、フォニックスを用いた指導は有効性がありません。限局性学習障害(LD)の読み書き障害に対しては、日本語の音韻構造に合わせた多感覚的指導が原則です。
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【各選択肢の解説】
1. 視覚的な記号を用いる
✅ 正しい。限局性学習障害の読み書き障害への指導では、文字の形態を視覚的に強調・色分けするなど、視覚的な記号化が効果的です。特に、小さい仮名の大きさや位置の違いを視覚的に理解させることは重要な手段です。
2. 動作と結び付けて覚える
✅ 正しい。多感覚的学習により、音韻処理を補助します。例えば、特殊音節の音を出す時の口の形や舌の位置を視覚・動作覚で習得させることで、音韻意識が高まります。身体を使った学習は限局性学習障害への標準的介入法です。
3. 単語の意味情報を活用する
✅ 正しい。セマンティック・キューイング(意味情報の活用)は、音韻処理が困難な児童の読み習得に有効です。「きゃ」を「きゃべつのきゃ」のように具体的な単語の意味と結び付けることで、記銘が容易になります。
4. 口頭で分解練習を行う
✅ 正しい。音韻意識を高めるため、特殊音節を「き」+「ゃ」に分解して、各成分を口頭で反復する練習は効果的です。音韻の構造を明示的に学習させることで、読み習得が促進されます。
5. フォニックスを用いて覚える
❌ 誤り。フォニックスは英語の文字と音の対応規則に基づいた指導法です。日本語は音節文字(仮名)の体系であり、英語とは全く異なる音韻構造を持つため、フォニックスの適用は適切ではありません。
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【試験対策ポイント】
限局性学習障害(LD)読み書き障害への多感覚的指導:
| 指導方法 | 活用感覚 | 特殊音節対応 |
|---|---|---|
| 視覚的記号化 | 視覚 | ○(色分け・サイズ強調) |
| 動作結合 | 運動覚・固有覚 | ○(口腔動作) |
| 意味情報利用 | セマンティック | ○(具体例との結合) |
| 音韻分解練習 | 聴覚・音韻意識 | ○(「きゃ」→「き」「ゃ」) |
| フォニックス | 音韻-文字対応 | ✗(英語専用、日本語不適切) |
重要な否定知識:
- フォニックスは「英語学習専用」の指導法
- 日本語は「音節文字」のため、英語の「音韻-文字対応」とは原理が異なる
- 限局性学習障害に対する日本語指導は「多感覚的・構造化」が原則
- 単語の意味は記銘を強化する有効な手段(「記憶する能力の障害」ではなく「読み書きの習得困難」であるため、意味情報は活用可能)