第17回 言語聴覚士国家試験 第73問
言語発達障害学第17回
特異的言語発達障害児の音声言語表出の指導場面で適切なのはどれか。
- 1.子どもの発話を黙ってよく聞く。
- 2.正しい構音で言い直させる。
- 3.視覚的な手がかりはつかわない。
- 4.パターン化した質問をする。
- 5.誤った発話には正しい発話を聞かせる。 ✓
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — 誤った発話には正しい発話を聞かせる
特異的言語発達障害児への指導では、子どもの誤った発話に対して即座に修正を強要するのではなく、大人が正しいモデルを示す「拡張と精緻化」という手法が有効とされています。これにより子どもは自然な方法で正しい音韻体系を学習でき、失敗経験による萎縮を防ぎながら言語獲得を促進できます。
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【各選択肢の解説】
1. 子どもの発話を黙ってよく聞く。
❌ 誤り。聞くだけでは指導にならず、子どもの言語発達は促進されません。STは「聴く」だけでなく、モデルの提示や適切なフィードバックを通じた積極的な関わりが求められます。
2. 正しい構音で言い直させる。
❌ 誤り。子どもに直接「もう一度言い直しなさい」と指示する方法は、失敗体験を強化し、発話への動機づけを低下させます。また構音錯誤のある子は意識的な修正が困難な場合が多いため、効果的ではありません。
3. 視覚的な手がかりはつかわない。
❌ 誤り。特異的言語発達障害児に対しては、視覚的刺激(身振り・絵・文字・口の形の提示など)が音韻体系の習得を促進する重要な補助手段となります。マルチモーダルアプローチが推奨されています。
4. パターン化した質問をする。
❌ 誤り。同じパターンの質問は子どもの言語理解と表出の柔軟性を制限します。多様な文脈・人・場面での相互作用を通じた言語使用が発達を促進するため、バリエーション豊かな対話が必要です。
5. 誤った発話には正しい発話を聞かせる。
✅ 正しい。拡張と精緻化(expansion and elaboration)という手法で、子どもの誤った発話に対して否定せず、大人が正しいモデルを自然な流れで提示する方法です。この間接的なフィードバックは、子どもの心理的負担を軽減しながら正しい音韻体系・文法構造の習得を促進します。
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【試験対策ポイント】
特異的言語発達障害(SLI)の音声言語指導の原則
| 指導方法 | 効果 | 理由 |
|---|---|---|
| モデル提示(正答聴取) | ◎ 有効 | 自然な学習、失敗感なし |
| 直接修正(言い直し指示) | ✗ 非効果的 | 失敗体験強化、萎縮 |
| 拡張・精緻化 | ◎ 有効 | 間接的フィードバック |
| 視覚的手がかり活用 | ◎ 有効 | マルチモーダル学習 |
| 多様な対話環境 | ◎ 有効 | 柔軟な言語使用獲得 |
キーワード:拡張(expansion)、精緻化(elaboration)、自然な学習環境、否定的フィードバック回避