STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第18回 言語聴覚士国家試験 第121問

聴覚系第18回
聴覚中枢機構について正しいのはどれか。
  1. 1.聴覚の中枢経路は両側性である。 ✓
  2. 2.一次聴ニューロンの神経核は蝸牛神経核である。
  3. 3.聴皮質障害による難聴は一側性である。
  4. 4.聴皮質障害による難聴では聴性脳幹反応は消失する。
  5. 5.蝸牛神経核では周波数局在性はみられない。

正答:1番

解説
■ 正答:1番 — 聴覚の中枢経路は両側性である。 聴覚系の最大の特徴は、蝸牛から聴皮質に至るすべての中枢経路が「両側性に投射する」ことです。これは視覚や体性感覚(一側病変で対側症状)とは異なり、一側の聴皮質障害では難聴が生じない理由です。蝸牛神経核の段階から対側への線維が多く交叉し、上オリーブ核以上では両耳からの情報が統合されます。 --- 【各選択肢の解説】 1. 聴覚の中枢経路は両側性である。 ✅ 正しい。蝸牛神経核から聴皮質に至るすべての段階で、両側への投射が存在します。このため一側の中枢聴覚経路損傷では一般的な難聴(感音難聴)は生じず、聴覚処理障害に限定されます。 2. 一次聴ニューロンの神経核は蝸牛神経核である。 ❌ 誤り。一次聴ニューロンは蝸牛神経節に位置する末梢受容器ニューロンです。蝸牛神経核は「二次聴ニューロン」の神経核で、一次ニューロンの軸索が終末します。階級を1段階誤解しやすい重要な誤り。 3. 聴皮質障害による難聪は一側性である。 ❌ 誤り。これは出題側の引っ掛けです。聴覚経路が両側性であるため、一側の聴皮質障害では純音聴力検査で難聪を認めません(両耳が機能するため)。対側耳の聴覚機能は保たれます。一側性聴覚症状は生じません。 4. 聴皮質障害による難聪では聴性脳幹反応は消失する。 ❌ 誤り。ABR(聴性脳幹反応)は脳幹レベルの反応であり、大脳皮質の障害では影響を受けません。聴皮質病変でもABRは正常値を示します。これは中枢聴覚障害の診断で「ABR正常=蝸牛・脳幹は正常、聴皮質の可能性あり」を示唆します。 5. 蝸牛神経核では周波数局在性はみられない。 ❌ 誤り。蝸牛神経核は蝸牛の周波数局在性(トノトピー)を保持しており、周波数別の層状配列が存在します。むしろ蝸牛から聴皮質に至るすべての段階でトノトピーが保存されることが聴覚系の重要な特性です。 --- 【試験対策ポイント】 聴覚中枢経路の3つの特徴: | 特徴 | 内容 | 臨床的意義 | |---|---|---| | 両側性投射 | 蝸牛→聴皮質 全段階で両側へ | 一側病変で純音難聴なし | | トノトピー保存 | 周波数局在性が維持される | 聴皮質では周波数別領域がある | | 多重シナプス | 蝸牛核→上オリーブ核→下丘→中脳→聴皮質 | ABRで各レベルの機能評価可能 | 頻出の誤り概念: - 聴皮質障害=一側性難聴(誤り)→一側難聴は「末梢・蝸牛神経・脳幹」の片側病変 - 一次ニューロン=蝸牛神経核(誤り)→一次は蝸牛神経節、蝸牛神経核は二次 - ABR消失=聴皮質病変の特徴(誤り)→ABR正常が聴
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