STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第18回 言語聴覚士国家試験 第160問

認知心理学第18回
正しいのはどれか。
  1. 1.意味記憶の障害には時間勾配かある。
  2. 2.エピソード記憶は非宣言(非陳述)記憶に分類される。
  3. 3.展望記憶が障害されると逆向性健忘が生じる。
  4. 4.側頭葉内側面が損傷されても手続記憶は保たれる。 ✓
  5. 5.昨晩食べた物の記憶は短期記憶に分類される。

正答:4番

解説
■ 正答:4番 — 側頭葉内側面が損傷されても手続記憶は保たれる。 側頭葉内側面(海馬・周囲皮質)は宣言記憶(意味記憶・エピソード記憶)の成立に不可欠ですが、手続記憶は線条体・小脳など異なる神経基盤を持つため、側頭葉内側面損傷後も保持されます。この解離はHM患者の古典的な事例で実証されています。 --- 【各選択肢の解説】 1. 意味記憶の障害には時間勾配がある。 ❌ 誤り。時間勾配(新しい記憶ほど障害される)は逆向性健忘の特徴であり、エピソード記憶に見られます。意味記憶は一般知識であり、時間的階層構造を持たないため時間勾配を示しません。 2. エピソード記憶は非宣言(非陳述)記憶に分類される。 ❌ 誤り。エピソード記憶は「宣言記憶」に分類されます。宣言記憶=意識的に想起可能な記憶(エピソード記憶+意味記憶)。非宣言記憶=手続記憶・プライミングなど。選択肢は分類を逆に述べています。 3. 展望記憶が障害されると逆向性健忘が生じる。 ❌ 誤り。展望記憶障害は「将来の予定を実行できない」という順向性の問題です。逆向性健忘は「過去の出来事が想起できない」という現象で、展望記憶障害とは異なります。 4. 側頭葉内側面が損傷されても手続記憶は保たれる。 ✅ 正しい。側頭葉内側面(海馬)は宣言記憶系の中核であり、手続記憶(運動技能や条件付けなど)はむしろ線条体・小脳に依存しています。有名なHM患者も損傷後も手続記憶学習(鏡描写など)は可能でした。 5. 昨晩食べた物の記憶は短期記憶に分類される。 ❌ 誤り。「昨晩」は数時間前の過去であり、短期記憶(数秒〜数十秒)の時間枠を大きく超えています。これはエピソード記憶(長期記憶に含まれる宣言記憶)に分類されます。 --- 【試験対策ポイント】 記憶の分類体系: | 大分類 | 中分類 | 具体例 | 神経基盤 | |---|---|---|---| | 宣言記憶(顕在記憶) | エピソード記憶 | 昨日の出来事 | 側頭葉内側面(海馬) | | | 意味記憶 | 一般知識・言葉の意味 | 側頭葉皮質 | | 非宣言記憶(潜在記憶) | 手続記憶 | 自転車運転・タイピング | 線条体・小脳 | | | プライミング | 単語完成課題の促進 | 大脳皮質 | 重要な神経解離: ・側頭葉内側面損傷=宣言記憶(エピソード記憶+意味記憶)が障害される→手続記憶は保持 ・小脳/線条体損傷=手続記憶が障害される→宣言記憶は保持 時間勾配について: ・逆向性健忘に時間勾配がある(Ribot勾配)→古い記憶は保持、新しい記憶が喪失 ・意味記憶は時系列的な構造がないため時間勾配の概念が適用されない 短期記憶と長期記憶の時間区分: ・短期記憶:
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