第18回 言語聴覚士国家試験 第47問
言語発達学第18回
乳児期の音声発達の説明として正しいのはどれか。
- 1.新生児は音声の弁別能力がない。
- 2.喃語の出現直後に発声と身体運動との同期現象が増大する。
- 3.喃語は母語と関係しない。
- 4.初語が出現すると非言語音による伝達は消失する。
- 5.生後1年ころまでに子音弁別能力は母語の制約を受けるようになる。 ✓
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — 生後1年ころまでに子音弁別能力は母語の制約を受けるようになる。
乳児の音声知覚は,生後間もない時期には言語に関係なく音を弁別できる「汎言語的知覚」を持っていますが,生後6〜12ヶ月頃から自分の母語に含まれない音の弁別能力が減少していきます。つまり母語固有の音韻体系に適応する「母語化」が生じるため,この選択肢が正しいです。
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【各選択肢の解説】
1. 新生児は音声の弁別能力がない。
❌ 誤り。新生児も音声弁別能力を持っており,言語に関係なく様々な音を区別できます。むしろ汎言語的な弁別能力を備えています。
2. 喃語の出現直後に発声と身体運動との同期現象が増大する。
❌ 誤り。発声と身体運動(手足の動き)の同期現象は,喃語の出現より前,生後2〜4ヶ月の段階で見られます。喃語出現後,同期現象は逆に減少していく傾向があります。
3. 喃語は母語と関係しない。
❌ 誤り。初期喃語(自分の体から無作為に出た音)は言語に無関係ですが,生後6〜9ヶ月の段階で出現する「経験的喃語」は既に聴覚フィードバックを通じて母語の音韻体系の影響を受け始めています。
4. 初語が出現すると非言語音による伝達は消失する。
❌ 誤り。初語出現後も,泣く・笑う・音声化による非言語的な伝達手段は継続して使用されます。むしろ非言語的コミュニケーション(身振り・アイコンタクト)と言語的コミュニケーションが並行して発達していきます。
5. 生後1年ころまでに子音弁別能力は母語の制約を受けるようになる。
✅ 正しい。生後6〜12ヶ月の間に,嬰児は聴覚経験を通じて自分の母語に含まれない子音の弁別能力を喪失していき,母語固有の音韻体系へと適応していく過程が起こります。これは「知覚的同化」と呼ばれる現象です。
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【試験対策ポイント】
音声知覚発達の時系列:
| 時期 | 現象 | 特徴 |
|---|---|---|
| 新生児〜生後3ヶ月 | 汎言語的知覚 | すべての言語音を弁別可能 |
| 生後2〜4ヶ月 | 発声と身体運動の同期 | 手足の動きと発声が連動 |
| 生後3〜6ヶ月 | 初期喃語 | 無作為な音声生成 |
| 生後6〜9ヶ月 | 経験的喃語 | 母語の影響が入り始める |
| 生後6〜12ヶ月 | 母語化(語音弁別の制約) | 母語に無い音の弁別能力が減少 |
| 生後10〜15ヶ月 | 初語出現 | 意図的な音声コミュニケーション開始 |
非言語的コミュニケーション:
初語出現後も継続(泣く・笑う・身振り・アイコンタクト)
母語化のメカニズム:
聴覚フィードバック→母語音への曝露→当該音の弁別感度↑,非母語音の弁別感度↓