第18回 言語聴覚士国家試験 第74問
言語学第18回
音声言語の特徴について誤っているのはどれか。
- 1.離れたところにいる人に伝わる。
- 2.多くの語彙を表現できる。
- 3.静的な呈示ができる。 ✓
- 4.道具がいらない。
- 5.恣意的な記号である。
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — 静的な呈示ができる。
音声言語は時間軸に沿って逐次的に流れる**動的**なメディアです。一度発出された音は消失し、話者の意図で停止・保存・反復提示することができません。これが音声言語の根本的な特徴であり、文字言語との最大の違いです。
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【各選択肢の解説】
1. 離れたところにいる人に伝わる。
✅ 正しい。音声は音波として空間を伝播するため、視界外の距離のある人にも意思疎通が可能です。文字言語では物理的な接触(媒体の受け渡し)が必要ですが、音声はこの利点があります。
2. 多くの語彙を表現できる。
✅ 正しい。音声言語は子音・母音・アクセント・イントネーションの組み合わせにより、理論的に無限の語彙を生成できます。言語の生産性(productivity)を示します。
3. 静的な呈示ができる。
❌ 誤り。音声言語は本質的に時間依存的であり、発出と同時に消失します。停止・保存・反復提示はできず、聞き手は記憶に頼る必要があります。この「静的呈示ができない」ことが、読み書き能力習得が必要とされる所以です。
4. 道具がいらない。
✅ 正しい。音声言語には話す口腔器官と聞く聴覚器官があれば足りており、筆記具や媒体のような道具を必要としません。人間が言語習得する最初の形態です。
5. 恣意的な記号である。
✅ 正しい。音韻と概念の結びつきに必然性はなく(例:「犬」の音と犬という動物の関係)、慣例によってのみ成立しています。これはソシュール言語学の基本原則です。
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【試験対策ポイント】
音声言語 vs 文字言語の対比表:
| 特性 | 音声言語 | 文字言語 |
|---|---|---|
| **時間性** | 動的(時系列) | 静的(保存可能) |
| **伝播** | 音波(空間的)| 媒体依存 |
| **保存性** | 低い | 高い |
| **道具** | 不要 | 必要 |
| **修正** | 困難 | 容易 |
| **獲得時期** | 自然(生得的) | 学習(教育必須) |
重要:「静的な呈示」は文字言語の**唯一**の優位性。ST試験では音声と文字の対比を聞かれることが多いため、両者の相違点は必ず押さえる。