STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第18回 言語聴覚士国家試験 第73問

脳性麻痺第18回
発語が困難な8歳の脳性麻痺児。理解言語が2歳代。AAC導入のための支援として適切でないのはどれか。
  1. 1.スイッチを用いておもちや操作の練習をする。
  2. 2.透明文字盤を用いて呼称訓練を行う。 ✓
  3. 3.VOCAを用いてあいさつの練習をする。
  4. 4.選択的な意思表示の機会をつくる。
  5. 5.椅子を用いて頭部や体幹が安定する姿勢がとれるようにする。

正答:2番

解説
■ 正答:2番 — 透明文字盤を用いて呼称訓練を行う 理解言語が2歳代という認知発達水準では、呼称訓練(「犬」「猫」などの名詞を正確に言う)は時期尚早です。透明文字盤は相手に視線の指差しで意思伝達する手段ですが、認知発達が低い段階では、まず「好き嫌い」「欲しい・嫌」といった選択的な意思表示から始めるべきです。AAC導入前には、動機づけと基本的なコミュニケーション欲求の育成が優先されます。 --- 【各選択肢の解説】 1. スイッチを用いておもちゃや操作の練習をする ✅ 正しい。スイッチ操作により「自分の行動が環境に影響を与える」という因果関係の理解を促し、コミュニケーション欲求を高めます。AAC導入前の重要な準備段階です。 2. 透明文字盤を用いて呼称訓練を行う ❌ 誤り。理解言語が2歳代の児童に呼称訓練は認知発達段階として不適切です。透明文字盤は相手が音声表出を代替することが前提で、この児童の認知水準に合致していません。 3. VOCAを用いてあいさつの練習をする ✅ 正しい。「あいさつ」は日常的に頻繁に使われ、認知要求が低い機能語で、動機づけが高まりやすい語彙です。VOCAはAAC導入の好適な入口です。 4. 選択的な意思表示の機会をつくる ✅ 正しい。「Aとかどちらがいい?」などの二者択一を繰り返すことで、意思伝達の動機と基本的なコミュニケーション構造を学習します。認知発達段階に適合した支援です。 5. 椅子を用いて頭部や体幹が安定する姿勢がとれるようにする ✅ 正しい。脳性麻痺児の発語困難は構音障害とともに、身体緊張による呼吸・口腔機能の制限が関係しています。適切な体位保持はAAC導入前の必須条件です。 --- 【試験対策ポイント】 AAC導入の流れ(段階別) | 段階 | 内容 | 理由 | |---|---|---| | 1. 動機づけ段階 | スイッチ操作体験、環境制御 | 「伝えたい欲求」の育成 | | 2. 選択的意思表示 | 二者択一・好嫌表現 | 認知負荷が低い | | 3. AAC導入 | VOCA・文字盤(語彙選択) | 認知発達に応じた機能語から | | 4. 拡張語彙 | 呼称・構文的表現 | 認知発達が進んでから | 理解言語2歳代での適切な言語課題 - 適切:指示理解(「ちょうだい」「バイバイ」)、二者選択、機能語(あいさつ) - 不適切:呼称訓練、構文的理解を要する訓練 AAC導入時の身体機能的準備 - 体位保持:姿勢反射を利用した頭部制御 - 呼吸サポート:座位での腹圧確保 - スイッチアクセス:障害が少ない部位(眼球運動など)の確認 Key Point:脳性麻痺児のAAC導入は「認知発達段階」と「身体機能レディネス」の両軸で評価すること。呼称訓練は実用的機能語の習得後が鉄則。
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