第18回 言語聴覚士国家試験 第76問
音声障害第18回
20代の女性。職業は保育士。嗄声を主訴として来院した。喉頭内視鏡所見を示す。最も可能性の高い疾患はどれか。
【写真をスキャンして掲載すること】
- 1.声帯結節 ✓
- 2.声帯溝症
- 3.喉頭癌
- 4.ポリープ様声帯
- 5.喉頭肉芽腫
正答:1番
解説
■ 正答:1番 — 声帯結節
声帯結節は、反復的な音声使用による機械的刺激が原因で、声帯前中1/3部に対称性に生じる小隆起です。保育士のような音声酷使職従事者に極めて頻度が高く、20代女性という年齢層の嗄声患者では最も鑑別すべき疾患です。喉頭内視鏡所見で両側声帯の前中1/3に対称的な小結節が認められれば、診断は確定的です。
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【各選択肢の解説】
1. 声帯結節
✅ 正しい。音声酷使が主原因で、保育士などの職業音声使用者に多発します。両側声帯前中1/3に対称的に出現する特徴があり、この患者の職業・年齢・主訴から最も可能性が高いです。可逆的疾患で、音声安静と音声衛生で改善することが多いのも特徴です。
2. 声帯溝症
❌ 誤り。声帯の萎縮により、声帯縁が溝状に陥凹する疾患です。高齢者や長期喫煙者に多く、声帯結節と異なり加齢性変化が背景にあります。この20代女性には年齢層が合致しません。
3. 喉頭癌
❌ 誤り。喉頭癌は不規則な腫瘤形成、易出血性、長期進行性嗄声が特徴です。この年齢・性別・対称性の小結節という内視鏡所見では極めて可能性が低いです。悪性を強く示唆する所見がなければ、良性疾患である声帯結節を優先すべきです。
4. ポリープ様声帯
❌ 誤り。喫煙や喉頭癌との関連が強く、通常は両側びまん性の浮腫状腫大です。対称的な小結節という所見とは異なり、喫煙歴が重要な危険因子となることからも、この患者とは合致性が低いです。
5. 喉頭肉芽腫
❌ 誤り。声帯突起部(後方)に生じる肉芽腫で、嚥下時痛や咽頭違和感を伴うことが多いです。音声酷使というより、咳嗽や胃酸逆流が原因です。前中1/3の対称的小結節という所見とは異なります。
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【試験対策ポイント】
音声障害の鑑別:職業と部位の対応表
| 疾患 | 部位 | 原因 | 好発年齢・職業 |
|---|---|---|---|
| 声帯結節 | 前中1/3(対称) | 音声酷使 | 若年、保育士・教員・歌手 |
| ポリープ様声帯 | 両側びまん性 | 喫煙 | 中高齢、喫煙者 |
| 喉頭肉芽腫 | 声帯突起部(後方) | 咳嗽・逆流 | 逆流症患者 |
| 声帯溝症 | 声帯縁全体の陥凹 | 加齢・萎縮 | 高齢者 |
| 声帯ポリープ | 一側性の単発腫瘤 | 単発刺激 | 全年齢 |
声帯結節の特徴:
- 可逆的(保存的治療で消失可能)
- 対称性(両側同じ位置)
- 音声安静と音声衛生で改善
- 感音聴覚検査は正常
- 嗄声以外の症状なし
職業音声使用者の鑑別ポイント:
- 保育士・教員→声帯結節(小児と毎日接触、大声指導)
- 歌手→声