STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第18回 言語聴覚士国家試験 第77問

機能性構音障害第18回
構音類似運動検査について誤っている組合せはどれか。
  1. 1.[r] ― 開口して舌尖を上顎前歯裏につけさせる。
  2. 2.[φ] ― 囗唇を閉鎖し、呼気をためで破裂させる。 ✓
  3. 3.[h] ― 大きく開口して強く息を吐かせる。
  4. 4.[m] ― 口唇を閉じてそのまま声を出させる。
  5. 5.[t] ― 上下顎前歯の間から舌を出し、閉鎖を作り破裂させる。

正答:2番

解説
■ 正答:2番 — [φ]―口唇を閉鎖し、呼気をためで破裂させる [φ]は下唇と上前歯の間に狭窄を作る音であり、両唇を完全に閉鎖して破裂させるものではありません。「呼気をため」という表現も不適切で、持続的な摩擦音として産生されます。正しくは「下唇と上前歯の間に狭窄を作り、呼気を流す」と説明されるべきです。 --- 【各選択肢の解説】 1. [r]―開口して舌尖を上顎前歯裏につけさせる。 ✅ 正しい。[r](流音)の検査では、舌尖が上顎歯槽部付近の位置を確認する類似運動が用いられます。実際の[r]音産生時に舌尖が到達すべき位置を外的に確認する方法です。 2. [φ]―口唇を閉鎖し、呼気をためで破裂させる。 ❌ 誤り。[φ]は摩擦音であり、両唇閉鎖による破裂音ではありません。正しくは「下唇と上前歯の間に狭窄を作り、呼気を摩擦的に流す」音です。両唇を閉鎖して破裂させるのは[p](破裂音)の特徴です。 3. [h]―大きく開口して強く息を吐かせる。 ✅ 正しい。[h]は咽頭摩擦音で、特定の調音点がなく、開口状態で呼気流を強く流す類似運動が用いられます。音声のない息流を確認する検査です。 4. [m]―口唇を閉じてそのまま声を出させる。 ✅ 正しい。[m]は両唇鼻音であり、口唇を完全に閉鎖した状態で音声を出させ、鼻腔共鳴と口唇閉鎖を確認します。これは[m]音産生の本質的な位置づけです。 5. [t]―上下顎前歯の間から舌を出し、閉鎖を作り破裂させる。 ❌ 解釈に注意。正しくは「舌尖が上歯槽部に上げられ、閉鎖を作り破裂させる」ですが、この選択肢の「上下顎前歯の間から舌を出し」という表現は不正確です。しかし、問題の「誤っている組合せ」という指定では、2番が最も明らかな誤りなため、ここは相対的には正しい部類に扱われます。 --- 【試験対策ポイント】 破裂音・摩擦音・鼻音の類似運動の違い: | 音素 | 調音点 | 調音様式 | 類似運動 | |---|---|---|---| | [p] | 両唇 | 破裂 | 両唇閉鎖→破裂 | | [φ] | 下唇+上歯 | 摩擦 | 狭窄→摩擦(破裂ではない) | | [t] | 舌尖+上歯槽 | 破裂 | 閉鎖→破裂 | | [m] | 両唇 | 鼻音 | 両唇閉鎖+音声 | | [h] | 咽頭 | 摩擦 | 開口+強呼気 | 頻出誤解: ・[φ]を破裂音と混同する受験生が多い ・破裂音([p][t][k])と摩擦音([φ][s]など)の調音様式の違いを厳密に区別する ・「呼気をため」という表現は破裂音特有の現象であり、摩擦音には不適用
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