STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第19回 言語聴覚士国家試験 第136問

音声学第19回
共通語(東京方言)の「ウ」の説明で適切なのはどれか。 a.狭母音である b.無声化が生じる c.円唇母音である d.前舌母音である e.舌端が口蓋に接触する 1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e

正答:1番

解説
■ 正答:1番 — a,b 共通語(東京方言)の「ウ」は、舌が硬口蓋に接近した高い位置にある狭母音であり、特定の環境下(無声子音の後など)では音声を失う無声化現象が生じます。これら2つの特徴が適切な説明です。 --- 【各選択肢の解説】 a. 狭母音である ✅ 正しい。共通語の「ウ」は舌を高く上げて発音される高母音(狭母音)です。舌の位置が他の母音と比べて最も硬口蓋に近い状態で発音されます。 b. 無声化が生じる ✅ 正しい。「スキー」「クーラー」「ツツ」など、無声子音(s・k・t等)の後に来る「ウ」は発話速度が速い場合、音声部分(声帯振動)が失われて無声化します。これは共通語話者の一般的な音韻現象です。 c. 円唇母音である ❌ 誤り。共通語の「ウ」は非円唇母音です。発音時に唇を丸めたり突き出したりしません。丸唇母音はドイツ語やフランス語などの言語に見られ、共通語には存在しません。 d. 前舌母音である ❌ 誤り。共通語の「ウ」は後舌母音です。舌の位置が口腔後部(奥)にあります。前舌母音は「イ」や「エ」です。舌の位置による分類では「ウ」は明らかに後舌です。 e. 舌端が口蓋に接触する ❌ 誤り。「ウ」は母音であり、舌端が口蓋に接触することはありません。接触するのは音節化した「ン」など特殊な場合に限定されます。母音発音は気流を阻害しない開放的な音です。 --- 【試験対策ポイント】 共通語の5母音の特徴比較表 | 母音 | 舌の高さ | 舌の前後 | 円唇 | 無声化しやすさ | |---|---|---|---|---| | イ | 狭(高) | 前舌 | 非円唇 | あり | | エ | 中 | 前舌 | 非円唇 | なし | | ア | 開(低) | 中舌 | 非円唇 | なし | | オ | 中 | 後舌 | 円唇 | なし | | ウ | 狭(高) | 後舌 | 非円唇 | あり | 重要な無声化パターン - 「ス」「ク」「ツ」「スト」など無声子音直後の「ウ」が無声化しやすい - 「スキ」「クーラー」は典型例 - 無声化は音韻的変化ではなく、音声的変化(発話スタイル依存) 「ウ」と紛らわしい選択肢 - 円唇母音:「オ」は円唇(ウは非円唇と区別) - 前舌:「イ」「エ」が前舌(ウは後舌と区別) - 舌端接触:これは子音の特徴(母音では起こらない)
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