STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第19回 言語聴覚士国家試験 第182問

運動障害性構音障害第19回
パーキンソン病の60歳男性。単音節および単語では正しい音が生成できるが、文では話速度が速くなり明瞭度が下がる。適切な訓練法はどれか。 a.内緒話法 b.吸気発声法 c.フレージング法 d.モーラ指折り法 e.あくび・ため息法 1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e

正答:4番

解説
■ 正答:4番 — c,d パーキンソン病の運動低下性構音障害で「単音節・単語では正しいが、連続発話で加速現象により話速度が速くなり明瞭度が低下する」という特徴的な症状に対して、話速度をコントロールして明瞭度を維持する訓練法が必要です。フレージング法とモーラ指折り法はいずれも「話速度のペース調整」に直結する訓練法であり、この患者に最適です。 --- 【各選択肢の解説】 a. 内緒話法 ❌ 誤り。内緒話法は音量を抑制された声で発話する方法で、「音量の低下」「呼気量不足」が主な問題のパーキンソン病患者には適応があります。しかしこの患者の主問題は「加速現象による話速度の制御」であり、内緒話法では速度低下をもたらしません。 b. 吸気発声法 ❌ 誤り。吸気発声法は吸気時に音声を出す方法で、呼気流の制御が困難な患者(例:弛緩性構音障害)に用いられます。パーキンソン病の加速現象による話速度低下には直接的な効果がなく、むしろ吸気と呼気の制御を複雑にします。 c. フレージング法 ✅ 正しい。フレージング法は文を短い句単位に分割し、各句の間で深呼吸を挿入して「言語リズムの再構築」と「話速度のペース調整」を行う訓練法です。加速現象による連続発話の明瞭度低下に最適で、患者が自分で話速度をコントロールできるようになります。 d. モーラ指折り法 ✅ 正しい。モーラ指折り法は話者が指を折りながら1モーラ1動作の同期で発話する方法で、「メトロノーム効果」によって話速度を強制的に制御します。パーキンソン病の加速現象に対して、外的リズム手がかりとして機能し、明瞭度を維持するのに有効です。 e. あくび・ため息法 ❌ 誤り。あくび・ため息法は下顎の緊張を緩和し、共鳴腔の利用を促す方法で、音量や音響特性の改善に役立ちます。しかしこの患者の主問題である「加速現象と話速度制御」には対応しません。 --- 【試験対策ポイント】 パーキンソン病の構音障害の特徴と訓練法の対応表: | 問題 | 主な訓練法 | |---|---| | 音量低下(低音声) | 内緒話法・プッシング法 | | 加速現象+話速度制御 | フレージング法・モーラ指折り法 | | 呼気流制御困難 | 吸気発声法は不適応 | | 下顎緊張・音響特性 | あくび・ため息法 | | 音声強度調整 | プッシング法・携帯型空気流測定器 | 重要な負の知識: - 吸気発声法はパーキンソン病の加速現象には無効 - あくび・ため息法は「速度制御」をもたらさない - 内緒話法は「明瞭度低下」の本質的解決にならない キーワード: - 加速現象=「話速度が次第に速くなる現象」(パーキンソン病の特徴) - フレージング法=「呼吸のポーズで速度リセット」 - モーラ指折り法=「外的リズム手がかり(メトロノーム効果)」
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