第19回 言語聴覚士国家試験 第183問
嚥下障害第19回
摂食訓練に関して正しいのはどれか。
- 1.気管切開のある患者では摂食訓練時にカニューレのカフ圧を高くする。
- 2.一側咽頭・喉頭麻痺がある患者では頚部回旋嚥下が有効である。 ✓
- 3.誤嚥がないことが開始条件である。
- 4.認知症患者ではバイオフィードバック法が有効である。
- 5.食物形態の調整は摂食訓練とは独立して行う。
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — 一側咽頭・喉頭麻痺がある患者では頚部回旋嚥下が有効である。
一側の咽頭・喉頭麻痺がある場合、頚部回旋嚥下(患側の反対方向への頭部回旋)により、咽頭通過時に健側へ食塊を移動させ、麻痺側を経由させず通過させることができます。これは実証的に有効な代償戦略です。
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【各選択肢の解説】
1. 気管切開のある患者では摂食訓練時にカニューレのカフ圧を高くする。
❌ 誤り。カフ圧を高めることは気道を過度に圧迫し、嚥下時の喉頭挙上を阻害します。むしろカフ圧を適切に管理(必要最小限)するか、訓練時には一時的に低下させることが推奨されます。気管切開は誤嚥防止の直接的手段ではなく、呼吸管理が目的です。
2. 一側咽頭・喉頭麻痺がある患者では頚部回旋嚥下が有効である。
✅ 正しい。頭部を麻痺側の反対方向に回旋することで、食塊の通過経路が健側へ偏向し、麻痺側咽頭の狭窄や感覚障害を回避できます。臨床で実証的に有効な代償戦略として確立されています。
3. 誤嚥がないことが開始条件である。
❌ 誤り。完全に誤嚥がないことを開始条件としていては、摂食訓練の対象患者がほぼ存在しません。むしろ「安全性が相対的に確保できる」「患者の意欲と全身状態が良好」「医学的に急性期を脱している」などが開始条件です。小量の誤嚥は認容される場合があります。
4. 認知症患者ではバイオフィードバック法が有効である。
❌ 誤り。認知症患者は学習機能と認知理解が低下しているため、バイオフィードバック法(自身の生理的反応を画面やグラフで自覚させる学習法)の効果は期待できません。むしろ環境調整や習慣化、訓練内容の単純化が有効です。
5. 食物形態の調整は摂食訓練とは独立して行う。
❌ 誤り。食物形態の調整は摂食訓練の重要な構成要素であり、独立して行うものではありません。患者の能力に応じた段階的な形態変更(とろみ→ペースト→刻み→常食)は訓練進行と並行して実施されます。
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【試験対策ポイント】
| 項目 | 内容 | 根拠・注意 |
|---|---|---|
| 頚部回旋嚥下 | 健側方向への回旋で患側の咽頭狭窄を回避 | 一側麻痺に特に有効 |
| 前傾嚥下 | 頭部前傾で重力補助・喉頭保護 | 全般的な代償戦略 |
| カフ管理 | 過度な圧迫は嚥下運動を阻害 | 適切圧:水柱高25~30cm |
| 開始条件 | 安全性相対確保・全身状態・医学的安定化 | 「無誤嚥」は不要 |
| バイオフィードバック | 学習能力が必要 | 認知症患者には不適切 |
| 食物形態 | 訓練進行と並行して調整 | 独立して行うものではない |
**紛らわしい点:** 気管切開は誤嚥そのものを防ぐ手段ではなく、誤嚥した際のリスク(気道への