STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第19回 言語聴覚士国家試験 第22問

聴覚系第19回
正しいのはどれか。
  1. 1.外耳道によって1,000Hz付近の音が共鳴して増強される。
  2. 2.音響性耳小骨筋反射は鼓膜張筋の収縮による。
  3. 3.聴力レベル40dBのとき、音響性耳小骨筋反射が欠如すれば内耳性難聴である。
  4. 4.聴神経で音の機械的振動が電気信号に変換される。
  5. 5.2,000Hz以上の音では両耳に入る音の強度さが方向覚において重要である。 ✓

正答:5番

解説
■ 正答:5番 — 2,000Hz以上の音では両耳に入る音の強度差が方向覚において重要である。 2,000Hz以上の高周波数音では、波長が短くなるため両耳間の位相差から方向を判定することが困難になります。そのため両耳間強度差(両耳に到達する音圧レベルの差)が主要な手がかりとなって音の方向定位が行われます。 --- 【各選択肢の解説】 1. 外耳道によって1,000Hz付近の音が共鳴して増強される。 ❌ 誤り。外耳道は約3,000Hz(ただし個人差があり2,500~3,500Hz)付近で共鳴が起こります。1,000Hz付近ではなく、より高周波数で共鳴増強効果が現れます。 2. 音響性耳小骨筋反射は鼓膜張筋の収縮による。 ❌ 誤り。音響性耳小骨筋反射はアブミ骨筋の収縮によるものです。アブミ骨筋は顔面神経(VII)に支配されています。一方、鼓膜張筋は三叉神経(V)支配で、反射性の収縮とは関係がありません。 3. 聴力レベル40dBのとき、音響性耳小骨筋反射が欠如すれば内耳性難聴である。 ❌ 誤り。聴力レベル40dB(4度以上の難聴)での耳小骨筋反射の欠如は、内耳性難聴よりも中耳性難聴や神経性難聴の指標になります。また反射欠如は聴力の重症度よりも反射弧の障害部位によって決まるため、聴力レベル40dBという値から直ちに難聴の部位を断定できません。 4. 聴神経で音の機械的振動が電気信号に変換される。 ❌ 誤り。音の機械的振動を電気信号(活動電位)に変換するのは聴神経ではなく、内耳の蝸牛にある有毛細胞(特に外有毛細胞と内有毛細胞)です。聴神経は既に電気信号に変換された情報を伝導するだけです。 5. 2,000Hz以上の音では両耳に入る音の強度差が方向覚において重要である。 ✅ 正しい。高周波数(2,000Hz以上)では波長が短く両耳間位相差による方向定位が使用できないため、両耳間強度差(両耳に受け取る音圧レベルの差)が音源方向の判定に重要な役割を果たします。 --- 【試験対策ポイント】 音の方向定位(時間差・強度差)の使い分け | 周波数帯域 | 主要な手がかり | 理由 | |---|---|---| | 500Hz以下 | 両耳間位相差(時間差) | 波長が長く、頭部を基準とした位相差で判定 | | 500~2,000Hz | 両方を併用 | 移行帯域 | | 2,000Hz以上 | 両耳間強度差 | 波長が短く、頭の陰影効果が生じ強度差が明確化 | 外耳道共鳴 - 共鳴周波数:約3,000Hz(範囲:2,500~3,500Hz) - 効果:この周波数帯で20~30dBの増強 - 役割:言語音の子音など高周波成分の認識に有利 耳小骨筋反射の構成 - アブミ骨筋:顔面神経(VII)支配、音響性反射の主体 - 鼓膜張筋:三叉神経(V)支配、反射性の役割は限定的 有毛細胞の機能 - 外有毛細胞→運動機能(増幅作用)
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