第19回 言語聴覚士国家試験 第25問
認知心理学第19回
正しいのはどれか。
- 1.運動視差は、視野内で大きく動くものはより遠くに見えるという奥行知覚要因である。
- 2.動きが見えない時の網膜像を静止網膜像という。
- 3.仮現運動では動く対象が静止して見える。
- 4.運動情報は対象構造の知覚の手がかりになる。 ✓
- 5.静止した対象同士の間に生じる見かけの動きを誘導運動という。
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — 運動情報は対象構造の知覚の手がかりになる。
運動情報(動きに関する視覚情報)は、対象物の3次元的な構造や形態を知覚する際の重要な手がかりになります。例えば、回転する物体を見ることで、その物体の奥行き構造が明確に認識されます。この現象をStructure from Motion(SfM:動きからの構造抽出)と呼び、運動情報が静止画像では得られない豊富な空間情報を提供することを示しています。
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【各選択肢の解説】
1. 運動視差は、視野内で大きく動くものはより遠くに見えるという奥行知覚要因である。
❌ 誤り。運動視差の定義が逆です。視野内で「小さく動く」ものほどより「遠く」に見え、「大きく動く」ものほどより「近く」に見えます。これは自分が移動する際に、近い対象は大きく流れ、遠い対象は小さく流れることに基づいています。
2. 動きが見えない時の網膜像を静止網膜像という。
❌ 誤り。用語の定義が不正確です。この選択肢は「動きが見えない」という曖昧な状況を前提にしており、視覚心理学における正確な術語ではありません。網膜像は網膜上に投影される像そのものを指し、「見える/見えない」という知覚経験とは別の概念です。
3. 仮現運動では動く対象が静止して見える。
❌ 誤り。仮現運動(apparent motion)の定義と逆です。仮現運動とは、静止した複数の刺激が時間差をおいて呈示される場合に、まるで「動く対象が見える」ように知覚される現象です。映画やアニメーションの基本原理であり、実際には動きがないのに動いて見えることが特徴です。
4. 運動情報は対象構造の知覚の手がかりになる。
✅ 正しい。運動情報(動きに関する視覚情報)を得ることで、対象物の3次元的な構造、形態、深さなどが強く知覚されます。Structure from Motion(動きからの構造)はこの原理に基づいており、運動は静止画像では得られない重要な知覚情報源です。
5. 静止した対象同士の間に生じる見かけの動きを誘導運動という。
❌ 誤り。用語の混同です。誘導運動(induced motion)とは、背景が動く時に静止した前景が逆方向に動いているように知覚される現象です(例:電車内で、隣の電車が動くと自分の電車が止まっているのに動いているように感じる)。静止した対象同士の間に生じる見かけの動きは「仮現運動」です。
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【試験対策ポイント】
見かけの動きに関する3つの主要概念の区別:
| 概念 | 定義 | 例 |
|---|---|---|
| 仮現運動 | 静止刺激の時間差呈示により動きが見える | 映画・アニメーション |
| 誘導運動 | 背景の動きにより静止した前景が動いて見える | 隣の電車が動くと自車が動いて見える |
| 自己運動知覚 | 自分自身の動きを知覚 | 乗り物酔い・前庭覚覚情報 |
奥行知覚の手がかり(運動に関するもの):
- 運動視差:自分の移動に伴う見かけの動きの大きさで距離判定
近い→大きく動く、遠い→小さく動く
- Structure from Motion(SfM):運動情報から3次元構造を抽出
頻出の逆転問題パターン:
- 「運