第19回 言語聴覚士国家試験 第26問
認知心理学第19回
運動の学習について正しいのはどれか。
- 1.知覚運動学習では、知覚学習に続いて運動学習が行われる
- 2.後行学習が先行学習に影響することを負の転移という。
- 3.運動要素間に協応が生じる。 ✓
- 4.利き手から非利き手への転移はない。
- 5.技能は顕在記憶である。
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — 運動要素間に協応が生じる。
運動学習が進行すると、個々の運動要素が統合され、相互に調整・協応する関係が形成されます。これはパフォーマンスの自動化と効率化につながり、運動学習の本質的な特徴です。3番だけが運動学習の正確な説明となります。
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【各選択肢の解説】
1. 知覚運動学習では、知覚学習に続いて運動学習が行われる
❌ 誤り。知覚運動学習では知覚学習と運動学習が並行して進行します。順序的に「知覚→運動」ではなく、両者は相互に関連しながら同時に行われます。
2. 後行学習が先行学習に影響することを負の転移という。
❌ 誤り。負の転移の定義が逆です。正しくは「先行学習が後行学習に負の影響を与えること」が負の転移(例:テニス経験者がバドミントンを学ぶ際、サーブの動作が妨げになる)。後行学習が先行学習に影響することは「逆向転移」と呼ばれます。
3. 運動要素間に協応が生じる。
✅ 正しい。運動学習の進行に伴い、個別の運動要素(筋肉の活動タイミングなど)が統合され、相互に協調・協応する関係が形成されます。これが運動の円滑化と自動化につながる重要なメカニズムです。
4. 利き手から非利き手への転移はない。
❌ 誤り。利き手から非利き手への正の転移が生じます(対側性転移)。利き手で習得した運動パターンや原理は非利き手に部分的に転移し、非利き手側の学習曲線が短縮されます。
5. 技能は顕在記憶である。
❌ 誤り。技能は「手続き記憶」(潜在記憶)に分類されます。顕在記憶は事実や情報の宣言的記憶(「知っている」)であり、技能は「できる」という潜在記憶です。
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【試験対策ポイント】
【記憶システムの分類】
顕在記憶(陳述的記憶)
エピソード記憶:出来事の記憶
意味記憶:知識・概念
潜在記憶(非陳述的記憶)
手続き記憶:技能・スキル
古典的条件付け
プライミング
【運動学習の重要概念】
| 用語 | 定義 | 例 |
|---|---|---|
| 正の転移 | 先行学習が後行学習を促進 | 野球経験→ソフトボール習得 |
| 負の転移 | 先行学習が後行学習を妨害 | テニス→バドミントン(サーブ動作の干渉) |
| 対側性転移 | 利き側→非利き側への転移 | 右手で習得→左手でも活用 |
| 双方向転移 | 両方向の転移が起こる | 両手習字 |
| 協応 | 運動要素の統合・調整 | 初期段階→自動化への過程 |
【知覚運動学習の進行プロセス】
初期段階:知覚処理と運動実行が独立
→ 中期段階:知覚情報と運動要素の統合開始
→ 後期段階:自動化(協応完成)
運動学習は「知覚と運動の同時進行的統合」で進行します。